研究課題/領域番号 |
20K10164
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
河野 憲司 大分大学, 医学部, 教授 (50214664)
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研究分担者 |
阿部 史佳 大分大学, 医学部, 助教 (00718421)
河野 辰行 大分大学, 医学部, 講師 (20548143)
川村 和弘 大分大学, 医学部, 助教 (20815005)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 3次元癌微小環境モデル / 低酸素環境 / 上皮間葉転換 / multicellular aggregate / HIF1α / Erbファミリー / 3次元微小環境モデル / 悪性形質 / hypoxia-inducible factor / ErbBファミリー / 癌微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔扁平上皮癌(OSCC)が低酸素環境でより高度な悪性形質を獲得する機序をin vitroの3次元癌微小環境モデルを用いて、HIFとErbBファミリー分子の相互作用の面から明らかにする。具体的には、1)3次元癌微小環境はOSCC細胞のHIF発現を変化させるか、2)3次元癌微小環境でOSCC細胞のHIFはErbBファミリー分子の発現を誘導するか、3)HIFはどのErbBファミリー分子の発現を誘導するか、4)HIFはどのErbB下流シグナル伝達径路が活性化するか、その活性化に必要なErbBヘテロ二量体はどの型か、について解析を進める。
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研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌細胞の3次元コラーゲンゲル培養法を用いて、低酸素濃度の影響を検索した。すなわち、poly(HEMA)をコートしたラウンドボトムの96穴プレートに口腔扁平上皮癌細胞株を3000個/wellを植え込み、常酸素濃度(20.9%)で36時間培養した。この方法によりsingle multicellular aggregate(single MCA)を作成し、0.3%コラーゲンゲル(KOKENCELLGEN、高研株)に移し、常酸素濃度と低酸素濃度(0.3%)で培養を行い、single MCAから周囲ゲル内への細胞浸潤を観察した。すべての培養は2%FBS添加DMEM/F12 mediumで行った。 常酸素濃度にて経時的にsingle MCAを観察した結果、Eカドヘリン高発現で細胞間接着の強いMOK101はsingle MCAから周囲ゲル内に樹枝状の細胞塊突起を伸長した。MOK201からクローニングで得られたMON201E10(Eカドヘリン発現株)とMOK201A9(Eカドヘリン陰性、Nカドヘリン発現株)では、MO201E10はMOK101に似た浸潤形態であったが、樹枝状の細胞塊突起はMOK101よりも小さく、細胞塊突起の先鋒に少数の単離細胞が観察された。一方、MOK201A9はsingle MCAを形成するものの細胞間接着が弱く、ゲル内ではsingle MACから放射状に細胞が伸長し、浸潤先端に多数の単離細胞が見られ、旺盛な浸潤を示した。 現在、浸潤先端の単離細胞の細胞学的特徴を捉えるため、MOK201E10のsingle MCAの単離細胞の微細構造を電子顕微鏡にて検索している。 またMOK201E10について低酸素濃度の影響を調べた結果、single MCAから遊離する単離細胞は常酸素濃度に比べてごく軽度増加したが、低酸素による顕著な上皮間葉転換の誘導は捉えられなかった。細胞分散能を有するHGFあるいはラミニン332と低酸素濃度の相乗作用の効果を調べるため、追加実験を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
低酸素環境による3次元コラーゲンゲル培養での口腔扁平上皮癌細胞の上皮間葉転換(形態変化と浸潤能亢進)が予想されたよりも軽度であるため、HIF1α、ErbBファミリーの発現レベル、Ras-MAPK系の活性化の確認が進んでいない。現在、低酸素培養条件を調整するとともに、他の上皮間葉転換誘導因子を用いて、分子レベルでの検索の指摘条件の設定を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、3次元コラーゲンゲル培養低酸素培養条件を調整するとともに、他の上皮間葉転換誘導因子(HGF、ラミニン332)を用いて、検討を進めている。上皮間葉転換には低酸素以外の因子による相乗作用を考慮する必要がある。より顕著な浸潤性亢進条件を設定して、分子レベルでのアッセイを行う。
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