研究課題/領域番号 |
20K10166
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
別府 真広 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00363648)
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研究分担者 |
杉浦 剛 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (40322292)
比地岡 浩志 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (70305150)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 早期診断マーカー / MDSC / 口腔癌 / CTC / マイクロ流体チップ / 骨髄由来免疫抑制細胞 / 口腔癌個別化療法 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
癌の発生において、何らかの遺伝子異常によって出現した変異クローン細胞が腫瘍化し、多段階的に 「悪性化」し、「転移能」を獲得して転移腫瘍を形成すると考えられている。腫瘍局所の微小環境においては腫瘍のみならず、近接する間質細胞においても不均一性を持つことが知られており、原発病変と転移病変でがんの発生・進展において遺伝子変異パターンが異なる可能性が示唆されている。今回我々は癌と相互的に影響し、腫瘍の免疫回避に寄与するとされている骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)をターゲットとし、口腔癌の原発巣、転移巣、末梢血中のMDSCの遺伝子変異の比較を行い、個別化療法を目標としたバイオマーカーの開発を試みる。
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研究実績の概要 |
われわれは現在まで口腔癌において循環腫瘍細胞(CTC)をターゲットとしたリアルタイム個別化療法を検討してきたが、今回はがんと相互的に影響を与え、活性化しあうことが知られている間質細胞、中でも腫瘍の免疫回避に寄与するとされている骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)にターゲットを絞り、次世代シーケンス(NGS)を用い、原発巣、転移巣、末梢血中のMDSCの遺伝子変異の比較による、プレジションメディシン(精密医療)を目標とした本研究を着想した。(1)動物転移モデルにおける原発巣、転移巣、末梢血内、CTC間の遺伝子比較:動物転移モデルは当研究室で樹立した腺様嚢胞癌細胞株及び扁平上皮癌細胞株を用いた転移モデルを用い、原発巣および転移巣における腫瘍組織を採取して細切しシングルセル化し、NGS解析を検討中である。(2)患者原発巣癌細胞、転移巣、末梢血内、CTC間の遺伝子比較:未治療の段階で得た生検手術材料および患者血液から分取した細胞を用いて、上記転移動物モデルと同様の手法を用いて、各群間の遺伝子発現比較を行う。現在当科を受診しSCCと診断され、手術を行った患者を対象とし、手術もしくは生検から採取した腫瘍組織および、術前、術中、術後の採血から採取されマイクロ流体チップを用いて分離したCTCを用い、検出を行った。原発巣から得られた腫瘍細胞とCTCはFoundation One CDxがんゲノムプロファイルを基にpanelを作成し sequenceを行った。ctDNAは経時的に観察するためにCTCと同タイミングで採取し、解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
われわれは現在まで口腔癌において循環腫瘍細胞(CTC)をターゲットとしたリアルタイム個別化療法において、計画していた上記の動物転移モデルにおける原発巣、転移巣、末梢血内、CTC間の遺伝子比較においては、CTCの採取やシングルセル採取が技術的に困難であり、NGS解析まで至っていなかった。一方で同時に行っていた患者原発巣癌細胞、転移巣、末梢血内、CTC間の遺伝子比較においては、昨年は15例の症例において、手術もしくは生検から採取した腫瘍組織および、術前、術中、術後に採取した血液検体を用いてマイクロ流体チップにより分離したCTCを用い、各々のNGS解析を行った。現在は頸部リンパ節転移を発症した患者8例における各々の患者の原発巣と転移リンパ節における腫瘍領域、また対象部位として非転移リンパ節の細胞をマイクロダイセクションで採取し、さらにCTCも含め、遺伝子発現の上昇、低下、変異等についてNGSにより解析中である。 一方で当初ターゲットとしていた骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)の検出に関する、フローサイトメトリー(FACSAria; Becton Dickinson)による、CD11b+Gr-1+のMDSC細胞分画からLy6GhighLy6Clowである顆粒球系MDSCとLy6G-Ly6Chighである単球系MDSCを分取し、次世代シークエンサーを用いてRNA-Seq解析を行い、それぞれの細胞の発現プロファイルのheatmap及び主成分解析によるMDSC細胞のクラスタリング、特徴的な遺伝子発現解析については現在も進捗していない。
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今後の研究の推進方策 |
現在上記の動物転移モデルにおける原発巣、転移巣、末梢血内、CTC間の遺伝子比較および、患者原発巣癌細胞、転移巣、末梢血内、CTC間の遺伝子比較においては、NGS解析も含め昨年と比較し進行していない。今後は当初ターゲットとして予定していた、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)の検出に関する、フローサイトメトリー(FACSAria; Becton Dickinson)による、CD11b+Gr-1+のMDSC細胞分画からLy6GhighLy6Clowである顆粒球系MDSCとLy6G-Ly6Chighである単球系MDSCの分取法について引き続き具体的に技術的な面から習得および習熟する予定である。また患者血液検体や腫瘍組織からのMDSC分取が技術的に困難な場合は、腫瘍組織の切片を用いて各々の免疫染色を行い、MDSCと思われる細胞に対し Laser Microdissection法を用いた後NGSにて特徴的な遺伝子解析を行う方法を検討中である。また現在は別の方法(miRNAの発現の検索)により、口腔癌の悪性度と転移、予後との関連等も含め調査中である。
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