研究課題/領域番号 |
20K10172
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
稲本 京子 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (00469008)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 機能的近赤外分光法 / fNIRS / 歯原性疼痛 / 客観的評価法 / 慢性疼痛 / 情動ストレス / 近赤外分光法 |
研究開始時の研究の概要 |
「痛み」は患者自身が主観的に経験する他人と共有できない感覚であり、その評価が難しい。 本研究は、患者の歯・歯周組織・咀嚼筋の痛みを可視化・定量化し、術者がその痛みを客観的に把握することを目的としている。実験的痛み刺激を被検者の口腔内に負荷し、痛みの情動・認知・記憶の統合に関与する前頭前野の活動状況を、機能的近赤外分光法(fNIRS)を用いて測定する。併せて、fNIRS値と、現在臨床で用いられている痛みの評価ツールとの関連性を検討し、口腔内の痛みを、「感覚的側面」だけではなく「情動的側面」「認知的側面」も含め総合的に評価出来るシステムの確立を目指す。
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研究実績の概要 |
「痛み」は、多くは「急性疼痛」であり、創傷が治癒することでその痛みは消退するが、中には痛みが慢性化する「慢性疼痛」と呼ばれる状態になることがある。歯科領域においても、顎関節、咀嚼筋、舌における持続的疼痛や、歯内治療や抜歯を行ったにも関わらず痛みが変わらないなどの慢性疼痛に苦しんでいる患者は多い。情動ストレスは慢性疼痛の発生や悪化に影響を及ぼす要因の1つである。そのため、機能的近赤外分光法(fNIRS)を用いて、健常者に情動ストレスを負荷した際の脳血流変化を測定し、情動ストレス負荷時の前頭前野の活動状況の評価を行っている。fNIRSは、近赤外線という生体に無害な光を使うため安全性が非常に高い。情動ストレスは、視覚刺激として、国際感情画像システムから情動価の異なる中性画像、快画像、不快画像を選択し使用している。実験デザインは、前レスト、タスク、後レストを1試行とし、10試行を繰り返すブロックデザインで行っており、タスクでは、中性画像、快画像、不快画像の順に画像を呈示している。分析は、タスク直前のレスト時およびタスク時のそれぞれ同じ時間から得られた血流動態の平均値をチャンネルごとに算出し、タスクによる脳血流の変化状況を観察し、全10試行のうち試行間での血流動態の変化をチャンネルごとに観察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は口腔内に直接痛み刺激を負荷した際の前頭前野の脳血流動態を評価する予定だったが、痛みの慢性化程度をより治療の初期段階で把握できるように、情動ストレス負荷時の前頭前野の脳血流変化の検討をまず行うこととしたため、計画に変更が生じ、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は被検者の数をさらに増やし、情動ストレスに対する前頭前野の活動状況の検討を継続する。また、被検者に質問紙(HAD尺度(Hospital Anxiety and Depression Scale)、痛み破局化尺度(PCS)等)を回答してもらいその分析を行う。HADSは、抑うつや不安といった症状を高い確度で測定するテストで、PCSは痛みの慢性化の重要因子である破局的思考の傾向の把握が可能である。脳血流動態の客観的情報と質問紙からの主観的情報を評価し、これらの関連性の検討を行う。痛みを認知的および情動的側面を含めて総合的に評価し、適切な治療法の選択や治療の効果を推定するシステムの確立を目指す。
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