研究課題/領域番号 |
20K10224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大島 邦子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80213693)
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研究分担者 |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 歯髄幹細胞 / 歯髄再生 / GFP / 再植 / アドレナリン受容体作動薬 / 組織幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまでの研究で、再植後の歯髄内の早期の血行回復が歯髄静的幹細胞の活性化に必要であることを明らかにしてきた。また、齧歯類を用いた最新の研究で、β3アドレナリン受容体作動薬の全身投与が歯髄静的幹細胞賦活化による切歯成長促進を起こすことが示されたことから、今回我々は外傷歯への同作動薬応用の可能性に着目した。 本課題は①歯の再植時の髄床底部への意図的穿孔形成が早期の血行回復による歯髄治癒促進に寄与するか、②再植歯のβ3アドレナリン受容体作動薬溶液への浸漬が歯髄静的幹細胞賦活化に寄与するかを検証し、外傷歯における人為的血流調節と神経伝達シグナル調節による歯髄静的幹細胞活性化機構を解明する。
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研究実績の概要 |
小児歯科臨床において歯の完全脱臼はしばしば遭遇するが,再植後,歯根完成歯では歯髄再生は期待できず,その後の長期予後を考えると,新たな歯髄再生方法の開発が期待される.我々はこれまで,マウス臼歯で再植前に歯根短縮術を施す方法を考案し,歯髄内の早期の血行回復と歯髄静的幹細胞の活性化を促すことを明らかにした.しかし,歯根短縮は歯の長期予後を保証できないこと,根尖部歯髄に存在する幹細胞群SCAPを失うことがマイナスに働くことを見出した。そこで、歯根を短縮せず,早期の血行回復と歯髄幹細胞の賦活化を惹起する方法として下記実験を考案した. ①再植時の髄床底部への意図的穿孔形成 深麻酔下で3週齢マウス上顎右側第一臼歯を抜去後,髄床底に直径0.5mmのカーバイドバーで穿孔形成し,抜歯窩に再植した.術後3日~8週まで継時的にマウスを灌流固定し,歯髄治癒過程を解析した.その結果,対照群に比較し,実験群では穿孔部から早期の血行回復が起こり,術後3~5日の歯髄内アポトーシスの減少と細胞増殖活性の増加を促進し,術後2週の実験群の遠心根でNestin陽性率が有意に増加し,歯冠部の第三象牙質形成が増加した.従って,髄床底部への意図的穿孔形成が髄床底部からの早期の血行回復を促し,歯髄静的幹細胞を賦活し,歯髄治癒を促進することが示唆された.一方,髄床底穿孔部では骨形成・アンキローキスが惹起され,7日後のマラッセの上皮遺残の有意な減少を伴った. ②再植歯のβ3アドレナリン受容体作動薬溶液への浸漬 Hanks液にイソプロテレノールを5~20%の濃度で添加した溶液に,抜去歯を5分間浸漬後に再植し,2週後の治癒過程を解析した.予備実験では,Hanks液のみの対照群に比較して,10%実験群でNestin陽性率が高い傾向がみられ、歯髄治癒が促進する可能性が示唆されたが、その後の本実験では明らかな差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
再植歯のβ3アドレナリン受容体作動薬溶液への浸漬実験において、予備実験では2週後の治癒過程に有意差はないものの,Hanks液のみの対照群に比較して,10%実験群でNestin陽性率が高い傾向がみられ,歯髄治癒が促進する可能性が示唆されたが、その後の本実験では明らかな促進傾向が認められなかった。そのため、延長申請を行い、確認と手技の変更を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
(1)穿孔実験 これまでの実験結果をまとめ,1編論文を投稿した.また,上記の野生型マウスを用いた実験に加え,現在,歯髄静的幹細胞を可視化できるTetOP-H2B-GFPマウスでも同様の実験を実施しており,結果を解析中である.今後は,穿孔の大きさを調整し,マラッセの上皮遺残を含む歯周組織の損傷を最小限にすることで髄床底部での骨形成・アンキローシスを抑制し歯髄治癒を促進する方法論の確立が必要である. (2)浸漬実験 5分間浸漬実験で有意差が出なかった原因として,溶液の歯髄への浸透時間が不十分である可能性が考えられた.そこで,対照群と10%β3アドレナリン受容体作動薬溶液浸漬群で30分浸漬実験を実施・解析する予定である. 以上の実験により、人為的血流調節と神経伝達シグナル調節が歯髄静的幹細胞を活性化するという仮説を検証する予定である。
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