研究課題/領域番号 |
20K10246
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
葛城 梨江香 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40584769)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 酸素安定同位体比 / 歯エナメル質 / 身元推定 / 安定同位体比 / 歯科法医学 |
研究開始時の研究の概要 |
新たな身元推定法の開発を目的として、歯エナメル質に蓄積される酸素安定同位体比を高精度に測定する方法を確立し、1本の歯から得られる情報に詳細な検討を加えることで人種や生活地域を推定する技術を構築する。 検証内容として、1.大陸居住者と県内居住者の歯エナメル質の酸素安定同位体比を比較し、両者の判別ができるか検討する。2.県内居住者について、①歯の酸素同位体比により生活居住域を明確に分けられるかを調査し、その上で、②身元不明者の地域推定に酸素安定同位体比が積極的に利用できるかどうか検討する。本研究は、法歯科医学分野における全く新しい身元推定方法を開拓することに繋がる。
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研究実績の概要 |
本研究は、死後変化の影響を受けない歯のエナメル質に蓄積される酸素安定同位体比δO 18を調べることにより身元不明遺体の人種や生活地域を推定する新たな身元推定法の開発を目的としている。これまでに大陸居住者と新潟県居住者から採取された歯のエナメル質に蓄積される酸素安定同位体比には、飲用水を採取する水系の違いに起因すると考えられる有意な差があることを明らかにした。そこで、国内における居住地域と歯エナメル質の酸素安定同位体比の関係について居住する地域による差が生じるかどうかについて検討を行っている。本年度は、新潟県内居住者と新潟県外居住者について、それぞれ複数の事例から歯エナメル質を採取・処理を行い、含有される酸素安定同位体比の分析を進めている。また本年度は、骨に含まれる酸素安定同位体比の検討を行った。骨も死後変化の影響を受けにくく、身元不明遺体からの採取が可能な組織である。歯エナメル質と同様に主成分であるリン酸カルシウムの酸素安定同位体比を検証することにより居住地域の推定が可能であると考えられる。まず歯エナメル質において有意差のある大陸居住者3例と新潟県居住者3例について検討した。その結果、骨においても酸素安定同位体比に差が見られたことから、さらに歯エナメル質の酸素安定同位体比分析を行った大陸居住者および新潟県居住者の複数の解剖事例で採取された骨試料の一部についてそれぞれ処理を行い、酸素安定同位体比の比較を行った。しかし、今回の検討では居住地域の違いによる骨の酸素安定同位体比に明確な差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
安定同位体比分析を行う質量分析装置の調整等のため試料分析に期間を要しており、予定より研究の進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
日本国内居住事例の歯エナメル酸素安定同位体比の検証を進める。既に分析を進めている新潟県内居住者と新潟県外居住者との比較の分析結果を検討した上で、事例数を増やして検討を行う予定である。また、骨における酸素安定同位体比の分析では2回の分析結果が異なる傾向を示したことから、試料の精製方法などについて検証を行い、歯が採取できない事例での骨の安定同位体比を利用した人種や生活地域の推定が可能かについて、さらに検討を加える予定である。
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