研究課題/領域番号 |
20K10248
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉川 峰加 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (00444688)
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研究分担者 |
菅井 基行 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, センター長 (10201568)
太田 耕司 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20335681)
梶原 俊毅 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (40816948)
吉田 光由 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50284211)
鹿山 鎭男 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 室長 (50432761)
津賀 一弘 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (60217289)
大毛 宏喜 広島大学, 病院(医), 教授 (70379874)
小松澤 均 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (90253088)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 薬剤耐性菌 / 誤嚥性肺炎 / 専門的口腔衛生管理 / 医療・介護関連肺炎 / 要介護 / 非経口摂取 / 要介護高齢者 / 口腔ケア / 介護医療院 / 口腔内耐性菌 / 口腔衛生管理 |
研究開始時の研究の概要 |
2020年度は広島県内某介護保険施設2ヵ所へ入所する要介護高齢者100名の口腔内細菌を採取し,口腔内に薬剤耐性菌がどのくらいの割合で存在するかを確認する. 2021-2022年度は,2020年度における調査で口腔内に薬剤耐性菌の保有していることが判明した要介護高齢者に対し,歯科医師と歯科衛生士が週1回8週間に渡って専門的な口腔清掃(口腔衛生管理)を実施し,実施直後,半年後,1年後において,2020年度と同様に口腔内細菌を採取し口腔内細菌叢の変化等について検討する.加えて診療録から全研究協力者の医療・介護関連肺炎発症の有無やその重症度を評価する.
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研究実績の概要 |
<保菌調査> 広島県の某介護医療院へ入所する重度要介護高齢者(要介護4および5)の口腔および糞便から分離された薬剤耐性菌を調査し,その臨床的特徴を明らかにすることとした.体調が落ち着いている高齢者76名を主治医と病棟看護師長が選択した後,家族へ本研究への協力を依頼したところ,57名の同意を得た.口腔検体については,綿棒で口腔内をスワブした後,薬剤耐性菌の選択培地に同じサンプルを播種した. 薬剤感受性試験は,単一コロニー株で実施した. 便検体についても同様に薬剤感受性試験を行った. 口腔健康評価ツール (OHAT) の実施に加えて,基礎疾患や服薬等の臨床情報や栄養摂取方法等についてカルテより収集した.その結果,口腔検体に関しては,57名(男性7人,女性50人)のうち,29名(50.9%)において,薬剤耐性菌の選択培地で増殖を認めた. ロジスティック回帰分析より,非経口摂取のみが薬剤耐性菌の口腔内保菌と有意に関連していた (P < 0.05). 糞便検体中の薬剤耐性菌選択培地での増殖能は77.2%であった.非経口摂取は,重度の集中治療を受けている高齢者における薬剤耐性菌の経口定着リスクであることが明らかとなった. <専門的口腔衛生管理の介入> われわれの口腔内薬剤耐性菌の保菌調査へ協力した要介護高齢者57名のうち,さらに8週間,週1回の歯科医師・歯科衛生士による専門的口腔衛生管理の介入調査への協力を得られた31名(男性4名,女性27名,平均87.0歳)を対象とした.COVID-19流行の影響により,2021年3月から2022年3月の間に対象者を4群に分ける形で介入を行った.介入調査終了後1年間の肺炎と死亡に関する観察期間を設けた.期間中に10名の死亡が確認され,肺炎を少なくとも1回発症した者は8名であった.肺炎のうち,誤嚥性肺炎を発症した者は5名であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
保菌調査ならびに介入調査ともに,COVID-19の流行に伴い,施設内へ入ってサンプルを採取したり,専門的口腔衛生管理を実施することが計画通りに進められない状況が続いた.介入調査終了後の1年間の肺炎・死亡に関する観察期間が終了したばかりである.
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今後の研究の推進方策 |
介入調査では介入の直前,介入4週後(中間),介入直後,半年後,1年後に口腔内および糞便内の薬剤耐性菌調査を実施しており,現在,その耐性菌の詳細について解析中である.本年6月に横浜市で開催される第12回IAGGアジア・オセアニア国際老年学会議で本内容の一部を発表予定であるとともに,現在,研究結果を論文報告としてまとめている.
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