研究課題/領域番号 |
20K10292
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 信和 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (20570295)
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研究分担者 |
野原 幹司 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (20346167)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 嚥下頻度 / 嚥下障害 / 誤嚥性肺炎 / 重症心身障害児者 / 障害児者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,重症児者の日常生活における嚥下頻度を測定し,1)嚥下頻度の多寡と肺炎の既往に関連は認められるか?(後ろ向き研究による検討),2)嚥下頻度の多寡と誤嚥性肺炎の発症に関連は認められるか?(前向き研究による検討),3)関連が認められる場合,嚥下頻度の具体的な値がリスクの指標となるか?(指標の確立),以上の3点を明らかにすることを目標とする.
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研究実績の概要 |
本年度は,重症心身障害児者(重症児者)の日常生活における嚥下頻度と肺炎の関連について前向き研究にて検討を行った. 対象は,医療福祉センターに入所する重症児者62名(平均年齢(SD):47.3(11.8)歳,範囲:19‐68歳,男:女=31:31)とした.各被験者の日常生活における嚥下頻度を測定し,測定後1年以内の肺炎発症との関連を調べた.嚥下頻度の測定はこれまでの先行研究と同様に喉頭マイクロフォンを用い,3回測定した平均を各被験者の嚥下頻度として採用した.肺炎の診断については,胸部CTを用いて放射線科医が行った.また,嚥下頻度と肺炎発症のいずれにも影響する交絡因子として,年齢,性別,誤嚥の有無,経口摂取の有無,てんかんの既往,胃食道逆流の既往,服用薬剤を抽出し,それらの因子の影響も検討した.誤嚥の有無については,嚥下内視鏡検査,もしくは嚥下造影検査の結果を採用し,その他の因子は診療録より確認を行った.肺炎発症に対する各因子の影響を明らかにするため,ロジスティック回帰分析を行い,単変量ロジスティック回帰分析で有意だった因子については,多変量ロジスティック回帰分析を行った. 検討の結果,測定後1年以内に肺炎を発症した者は,19名(30.6%)となり,肺炎を発症した者(肺炎あり群)は発症しなかった者(肺炎なし群)と比べ優位に嚥下頻度が低いことが明らかとなった.7.4±6.0 vs 27.9±7.4回/時 P<0.001).肺炎発症に対してのロジスティック回帰分析の結果,単変量解析では,抗てんかん薬(3種以上)と嚥下回数に有意差を認めた.さらに多変量ロジスティック回帰分析では,肺炎発症に対しては,嚥下頻度のみに有意差が認められた.(OR=0.855、95% CI=0.785~0.930、P<0.001)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年,昨年に引き続き新型コロナウイルスの影響により,研究フィールドである施設での活動に制限を受けることがあった.重症心身障害児者の施設であるため,感染予防の観点から当初の予測よりも研究活動の制限による影響が続いている.
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今後の研究の推進方策 |
施設での活動制限もこれまでと比較し改善傾向であり,研究の遂行は可能であると考えている.今後は前向き研究の結果を整理し,論文への投稿を予定している.
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