研究課題/領域番号 |
20K10298
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
川戸 貴行 日本大学, 歯学部, 教授 (50386075)
|
研究分担者 |
森田 十誉子 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所(研究部研究開発室), 研究部研究開発室, 主任研究員 (00597247)
尾崎 愛美 日本大学, 歯学部, 助教 (10867930)
中井 久美子 日本大学, 歯学部, 助教 (50736725)
山本 高司 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所(研究部研究開発室), 研究部研究開発室, 研究員 (60868529)
田中 秀樹 日本大学, 歯学部, 准教授 (90434076)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | メタボリックシンドローム / 脂肪肝 / 歯周病 / 線維化 / 肝星細胞 / I型コラーゲン / αSAM / TGF-β / MMP-1 / MMP-2 / MMP-9 / HepG2細胞 / 脂肪滴 / 炎症性サイトカイン / TNF-α / FIB4 / 肝臓細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
メタボリックシンドロームは,肥満に加えて高血糖,高血圧,脂質異常を併せ持ち,動脈硬化性疾患のリスクが一個人に集積した状態である。アルコール摂取に起因しない脂肪肝は,肝臓におけるメタボリックシンドロームの表現型とされているが,肥満を伴わない脂肪肝も認められることから,脂肪肝の発症にはエネルギー過多以外の要因の関与が考えられる。そこで,本研究では,軽微な慢性炎症として全身に影響することが知られる歯周病が脂肪肝に影響する可能性を,疫学研究と細胞生物学研究で検討する。
|
研究成果の概要 |
本疫学研究では,歯周ポケットの保有と腹部超音波検査での脂肪肝の所見との間に関連性を認めたが,歯周病から脂肪肝への方向性の因果関係は確認されなかった。一方,アルコールの摂取習慣がない又は頻度が少なく脂肪肝があると,肝臓の線維化指標FIB-4値が1.3以上であるオッズ比が,歯周ポケットなしに比べてありで高かった。細胞生物学研究では,培地へのグルコース添加で肝細胞内の脂肪滴は増加したが,LPS刺激はこれに影響しなかった。また,肝星細胞のI型コラーゲン発現はLPS刺激で増加した。 これらの知見から,メタボリックシンドロームによる脂肪肝から肝臓の線維化への進行リスクを歯周病が高める可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
非アルコール性脂肪肝は,動脈硬化性疾患のリスクを高めるメタボリックシンドローム(メタボ)の肝臓での表現型である。脂肪肝が炎症や線維化を伴う状態になると,肝硬変や肝癌など予後不良のリスクが高まる。一方,歯周病は歯の喪失原因となるだけでなく,軽微な慢性炎症として全身に影響しており,インスリンの作用を阻害するなどメタボや糖尿病にも影響すると考えられている。本疫学研究と基礎研究で明らかとなった歯周病と肝臓の線維化指標との関連性や,肝臓の線維化を誘因する肝星細胞の活性化に及ぼす歯周病原菌のLPSの影響は,歯科保健指導による歯周病予防が,メタボや脂肪肝対策にも有効である可能性を示すものと考えられる。
|