研究課題/領域番号 |
20K10299
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
齋藤 真規 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30434096)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 色素 / Arachnia rubra / 抗菌効果 / プロジギオシン / <i>Arachnia rubra</i> / 抗菌因子 / 新菌種 / 全ゲノム配列 / 歯周病原細菌 / プロバイオティクス |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は健常なヒト口腔から培地上で赤色の集落を形成する細菌の新菌種を発見・命名し報告している。本菌は口腔細菌等に対する強い抗菌効果を発揮することが判明したため,口腔二大疾患(虫歯と歯周病)のみならず様々な疾患に対して予防・治療効果を有する口腔善玉菌としての役割を担う可能性があると考えた。本研究では新菌種の抗菌物質の抽出・精製・同定を行い,新規成分であるかを見出し,創薬研究としての可能性を見出すことと,プロバイオティクスとしての可能性を検討するものである。
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研究実績の概要 |
Arachnia rubra SK-1株は,健常人の口腔内から分離された赤色コロニーを形成するグラム陽性桿菌であり,歯周病原細菌に対して抗菌活性を示す。色素には抗菌作用を示すものがあることから,本菌株が産生する色素を解析した。全ゲノム遺伝子配列決定後、KEGGによるゲノム機能解析を行い、産生する色素を検索した。その結果,Serratia marcescensが産生する赤色色素であるプロジジオシンがデータベース上で検索された。TSY(Tryptic Soy supplemented with Yeast extract)寒天培地上で赤いコロニーを形成した菌株SK-1を採取し,メタノールを用いて抽出した色素をLC/MSで分析した。波長500nmのクロマトグラムに7種類のピークが確認された。各ピークについて,LC-MS/MSを用いた正確な質量から分子式を算出した。得られた分子式の構造を推定するためにSciFinder-nデータベースを使用した。検索の結果,いずれのピークもプロジジオシンと推定されたが、LC-MS/MS分析のプロダクトイオンスペクトルと一致する構造は同定されなかった。これらの結果から、 SK-1株が産生する7種類の赤色色素はSerratia marcescensに非常に類似したプロジギオシンの新規化合物である可能性が示唆された。 SK-1株の色素の抽出量が精製を行う量に足りなかったためSerratia marcescensのプロジギオシン標品を代替えとして歯周病原性細菌に対する抗菌作用をディスク拡散法を用いて検討した。プロジギオシン類には様々な効果が期待されており,抗菌効果があるとの報告もある。Serratia marcescensのプロジギオシンは供試したPorphyromonas gingivalisおよびAggregatibacter actnomycetemcomitansに対して阻止円を形成したことから抗菌効果があると判断された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
SK-1株の新規プロジギオシンの抽出・精製,NMR分析による分子構造の解析を行うことを目的としていたが,抽出量が少なく,昨年度から抽出を継続しているが精製工程やNMR分析へ供するに足りる量の色素を抽出できなかった。 精製した色素を使用して歯周病原細菌への抗菌効果を検討する予定だったが,代替え案として既に販売されていたSerratia marcescensのプロジギオシンを利用しようと考えた。しかしながら,ウクライナ情勢が色素の輸入に影響影響してしまい,材料が届くまでに約半年を要した。
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今後の研究の推進方策 |
Arachnia rubra(SK-1株)が産生する色素の解析として,7種の新規プロジギオシン類で最も検出量が多かった物質(ピーク3)にをメインのプロジギオシンとして精製し,NMR分析を行い,分子構造の解析および未知の化学物質としての同定を行う。精製されたピーク3の歯周病原細菌および齲蝕原性細菌への抗菌効果を検討する。齲蝕(虫歯)や歯周炎の予防を目的として口腔内への応用が可能か確認するために細胞毒性試験を行う。 。
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