研究課題/領域番号 |
20K10317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 誠二 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60561553)
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研究分担者 |
杉田 聡 大分大学, 医学部, 教授 (00222050)
丸井 英二 人間総合科学大学, 人間科学部, 教授 (30111545)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 地区衛生組織活動 / 衛生教育 / 実践教育 / 保健所 / 戦後日本 / モデル保健所 / 厚生省 / GHQ/SCAP/PHW / 占領期 / GHQ/SCAP / PHW / コミュニティ・オーガニゼーション / 占領期/ポスト占領期 / 住民の主体形成 |
研究開始時の研究の概要 |
第二次世界大戦後の日本では「地区衛生組織活動」と呼ばれる住民主体の組織的実践が全国で活発化した.特にその起点となった「蚊とはえのいない生活実践運動」(1950年頃~60年代半ば)は赤痢などの急性感染症の減少に大きな成果を挙げたと評価されている.この研究は,占領期/ポスト占領期の日本における「地区衛生組織活動」の萌芽と発展に着目し,その政策的展開と受容の過程を「住民の主体形成」という観点から明らかにする.GHQ/SCAP(連合国最高司令官総司令部)文書を含む広範な史資料調査によってわが国の経験を詳細に描き出し,現代的にも重要な課題である「住民参加による/住民主体の地域保健」の手がかりを得る.
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研究実績の概要 |
本研究課題の最終年度となる令和5年度は,これまでに研究してきた地区衛生組織活動の萌芽と発展(活動の波及とテーマの多様化)に着目した調査をさらに前進させるとともに,1960年代に入り顕在化した活動の停滞・衰退化について関連資料の収集・検討を行った.以下にその概要を記す. 1. 前年度(研究第3年度)に研究した滋賀秀俊の著書『公衆衛生教育便覧』(1953)の内容について,第124回日本医史学会総会・学術大会(東京)にて報告した.公衆衛生の「実践」と衛生教育がどのように関連づけられ解説されたのかを検討するとともに,同書の約6年前に発行された斎藤潔(1893-1971)との共著『衛生教育』(1947)の記述を比較し,その特徴を考察した. 2. 地区衛生組織活動に関する1960(昭35)年前後以降の文献資料・記事を探索・収集し,この時期に盛んに議論され始めた同活動の評価や今後の方向性に関する記述を中心に考察した.例えば,雑誌『公衆衛生』第30巻第4号(1966年4月)には「地区組織活動の再検討」と題して特集が組まれ,関連分野の研究者・行政官らによる座談会の記録やアンケート結果が掲載された.これまでの活動が多面的に見直されるなかで,その特徴や意義,問題点が整理され,社会情勢の変化に応じた「地区ぐるみ」のあり方,保健・福祉分野の協働などが積極的に議論されたことがわかった. 本研究課題では,戦後日本で活発化した地区衛生組織活動に着目し,「住民の主体形成」という観点から実態解明を目指した.戦後の感染症予防を動機として芽生えた住民主体の組織的実践や新制保健所による優れた先駆的事例を検証するとともに,こうした活動の形成・拡大の過程に,“実践を通じた学び”(実践教育)を重視する衛生教育の展開が深く関係したことを考察した.本研究で得られた成果の公表は今後継続する予定である.
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