研究課題/領域番号 |
20K10318
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
朴木 久恵 富山大学, 医学部, 協力研究員 (40772330)
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研究分担者 |
戸邉 一之 (戸辺 一之) 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (30251242)
八木 邦公 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (30293343)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | PHR / メタボリック症候群 / BMI / 食事解析 / 腸内細菌叢解析 / Cペプチド / 生活習慣指導 / Cペプチド / 富山県 |
研究開始時の研究の概要 |
2型糖尿病患者やその予備軍であるメタボリック症候群の患者は、一般的に健康無関心層であることが多い。富山の全県レベルで展開されているスマートフォンアプリを用い、継続して利用しやすい運動療法や食事指導が可能なアプリを開発し、アプリによるPHR(Personal health record)介入の継続率・利用率とメタボ予防・進行抑制の効果検証を行う。同時に我々が臨床で使用しているインスリン分泌や抵抗性を表すCペプチドインデックス(CPI)などの指標、さらに食事内容をアプリで確認し、食事の内容と飽和脂肪酸などの脂質代謝やインスリン分泌、抵抗性との関係を検証する。
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研究実績の概要 |
富山県では一般に健康食と考えられている魚の摂取量が多く、BMIも高くないにも関わらず、メタボリック症候群の頻度、糖尿病の罹病率が高い。一方で揚げ物や冷凍食品の摂取量が多く、運動量が少ない。このお互いの相殺を我々は「とやまパラドックス」と提唱している。富山県民の健康長寿日本一を達成するにはこの「とやまパラドックス」を解消させること、つまり栄養、運動療法を中心とした生活習慣の改善が重要であると考える。富山県民の生活習慣とメタボリック症候群の実態を把握し、将来的に生活習慣を変えることにより未病のうちから、糖尿病の発症、メタボリック症候群の発症の原因を見つけだし、メタボリック症候群の予防を基礎とした心血管疾患の発症率を抑制することを目的とする。本研究はこの課題問題解決のため、健診の段階からアプリによるPHR(personal health record)を用いて富山県の企業や自治体と医療機関が協力して取り組み、将来的に医療費を削減しつつ、健康増進を図る新しい健康立県モデルの創出につながる。 A実態調査:A-1,検体の取得:A会社(従業員数2122名)のうち、同意が得られたものに実態調査アプリを導入し、食行動質問票、とやまパラドックス問診票への回答、1週間の食事写真記録、運動記録を入力してもらう。この1週間の間に採便、採尿を行う。同時期に健康診断を行い、その採血結果、BMI、腹囲、内臓脂肪計測(インピーダンス法)等記録する。 A-2,実態調査によるメタボ指数と生活習慣の相関。健常群とメタボ・プレメタボの群にインスリン抵抗性の差があるのか解析する。次にメタボ指数と生活習慣の関係性を解析する。握力のデータからメタボ指数との相関、健常群とメタボ・プレメタボ群で差があるかを解析する。これらの解析により、メタボと生活習慣との関係性を実態調査で検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)企業健診におけるとやまパラドックス問診票の有効性とインスリン関連指数の関係 (方法)企業健診で参加に同意を得られた435名に健診項目に追加してCペプチド,IRIの同時採血、内臓脂肪計測、とやまパラドックス問診票、食行動質問票によるアンケートを行った.Met.Sの関連項目である腹囲、内臓脂肪量、BMI,中性脂肪、LDLコレステロール、血圧、血糖をメタボ指数として生活習慣質問項目やインスリン関連指数との関係についてJMP15を用いて解析、検討した.(結果)メタボ指数と健診採血項目、メタボ健診質問項目、とやまパラドックス問診票の項目は多くの項目で相関した.メタボ指数は、Cペプチド、IRI、インスリン分泌を示すCPI、インスリン抵抗性を示すHOMA-Rと相関した.また、Cペプチドを用いたCPR-R(血糖値×Cペプチド/100)指数はメタボ指数、HOMA-R、HbA1cと相関し、生活習慣病の一つの指標になりうると考えらた 2)(方法)上記のうち便検体,尿検体の全データを取得できた腸内細菌叢解析と食事記録解析を行った.(結果)一般健診で協力の得られた49名の腸内細菌叢を階層型クラスター解析をしたところ、Bacteroides genus群:G1、Prevotella copri群:G2、 Others群:G3の三つに大分類できた。三つの各群の健診の項目について平均値の比較をしたところ、G2のPrevotella copri群とメタボの診断項目は正の相関、 Bacteroides genus群とメタボの診断項目は負の相関の傾向が見られた。 上記について介入を行おうとしたがコロナ禍でアプリの施行が難しく、食事解析を8訂にして、横断研究、観察研究として研究を再解析することとした。
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今後の研究の推進方策 |
メタボ指数と健診採血項目、メタボ健診質問項目、とやまパラドックス問診票の項目は多くの項目で相関した.メタボ指数は、Cペプチド、IRI、インスリン分泌を示すCPI、インスリン抵抗性を示すHOMA-Rと相関した.また、Cペプチドを用いたCPR-R(血糖値×Cペプチド/100)指数はメタボ指数、HOMA-R、HbA1cと相関し、生活習慣病の一つの指標になりうると考えられる。また腸内細菌エンテロタイプは、日本人アメリカ人ヨーロッパ人の腸内細菌叢について検討したところ、人種や年齢、性別等には依存せず、主に①Bacteroidesエンテロタイプ、②Prevotellaエンテロタイプ、③Ruminococcusエンテロタイプの3型に分けられることが明らかとなっている。この腸内細菌エンテロタイプは長期的な食習慣に大きく依存し特に①Bacteroidesエンテロタイプは動物性タンパク質や脂質の摂取量と、②Prevotellaエンテロタイプは炭水化物の摂取量とそれぞれの正の相関を示すことも明らかとなっている。食事解析をさらに詳しく8訂でおこない、食生活と腸内細菌について詳細な解析を行う。
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