研究課題/領域番号 |
20K10333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
玉置 岳史 関西医科大学, 医学部, 講師 (10460817)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 費用対効果 / 肺癌 / 化学療法 / 医療経済 |
研究開始時の研究の概要 |
近年にがん細胞増殖や腫瘍免疫に対する知見が高まり、切除不能な進行期肺癌に対する治療として細胞障害性抗癌薬以外にも分子標的薬、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬が使用されている。しかしながら、免疫チェックポイント阻害薬や血管新生阻害薬などの高額な薬剤の使用頻度が高まるにつれて、国民皆保険制度をとっている我が国での国費負担は増加し、大きな社会問題となっている。本研究では進行期肺癌に対するがん治療薬として使用される細胞障害性抗癌薬、分子標的治療薬、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬に対する医療経済的なアプローチにて最も生存や無増悪に効果的に寄与する治療方法を探究する。
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研究実績の概要 |
本研究では、切除不能な進行期肺癌において1次治療、2次治療で使用される分子標的薬、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬などの細胞障害性抗がん薬以外の抗がん薬が生命予後を改善するために必要とする費用を算出し、各抗がん薬間で費用対効果を比較することで医療経済的に最適な進行期肺癌患者への抗がん薬治療を考える。 EGFR遺伝子変異(エクソン19欠失またはL858R変異)陽性非小細胞肺癌に対する1次治療ではダコミチニブで費用対効果が良好であった。ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌に対する1次治療では未だ臨床試験の結果にて全生存期間が確定されていないものが多く費用対効果を評価できなかった。ROS1融合遺伝子、BRAF遺伝子変異、MET遺伝子変異、RET遺伝子変異、NTRK融合遺伝子、K-ras遺伝子G12C変異が検出された非小細胞肺癌では、遺伝子変化の頻度が稀であるために細胞障害性抗癌薬と直接的な比較を行った第3相臨床試験が存在せず費用対効果を評価できなかった。 分子標的療法の適応となる遺伝子変化がない進行期非小細胞肺癌に対する1次治療は、PD-L1 50%以上ではペムブロリズマブ単独治療で、PD-L1 1-49%ではペムブロリズマブ/プラチナ製剤併用細胞障害性抗癌薬とアテゾリズマブ/プラチナ製剤併用細胞障害性抗癌薬で、PD-L1 1%未満では/ペムブロリズマブ/プラチナ製剤併用細胞障害性抗癌薬で費用対効果が良好であった。 進展型小細胞肺癌に対する1次治療は、免疫チェックポイント阻害薬/プラチナ製剤併用細胞障害性抗癌薬の薬剤費が高額であるにも関わらず全生存期間の延長は短期間であるために費用対効果が不良であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進行期肺癌に対して承認された抗がん薬治療のなかには臨床論文が公表された時点で全生存期間などの研究で必要となる臨床情報が確定していないものが存在する。このために、追加データが公表されるごとに研究で使用しているデータベー スの修正や解析の再調整を行っている。また、当初に想定していたよりも肺がんへの抗がん薬治療の層別化や新たに承認された抗がん薬の追加があったために解析対象となる治療レジメン数が増えている。このために、抗がん薬治療の治療効果や有害事象を加味した解析を行う際に臨床論文間で報告されたデータの基準に差異が存在するために調整や解釈に想定よりも多くの時間を必要としている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度では、前年度までに算出した進行期肺癌に対する抗がん薬治療の治療効果および有害事象を加味した費用対効果を用いて、肺癌診療ガイドラインでの推奨度を加味しながら医療経済的に最適な進行期肺癌患者への抗がん治療モデルを構築する。 一部の抗がん薬治療では全生存期間やQOLなど医療経済効果の評価に必要となる臨床情報がどうしても入手できない場合には、当該治療の小規模報告や類似薬の 臨床情報を代用することも検討する。 令和6年度は研究の最終年度であるために公表に向けた準備も進めていく。
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