研究課題/領域番号 |
20K10357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 湘南医療大学 |
研究代表者 |
田島 明子 湘南医療大学, 保健医療学部リハビリテーション学科作業療法学専攻, 教授 (80550243)
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研究分担者 |
伊藤 純子 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (10436959)
増田 雄亮 新潟リハビリテーション大学(大学院), 医療学部, 講師 (20842595)
立岩 真也 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (30222110)
田中 順子 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (70299262)
岡 耕平 滋慶医療科学大学, 医療管理学研究科, 教授 (90466863)
太田 健一 日本福祉大学, 福祉経営学部, 助教 (20877089)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 障害受容 / 療法士 / アンケート調査 / 質的研究 / 作業選択 / 興味 / 使用状況 / 理学療法士 / 作業療法士 / 量的研究 / 内省型研修プログラム / 経験学習モデル / インタビュー調査 / 障害の社会モデル / 人権 |
研究開始時の研究の概要 |
療法士(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)の障害理解が対象者個人の側に問題を発見し変容を求める「障害の個人モデル」に偏重しているため、改善困難な場合その原因を個人の能力に帰結し、対象者に心理的負担を強いる等の問題が指摘されてきた。 現場の療法士が近年の障害理解の基本概念となる「障害の社会モデル」を実践に活かせることにより、対象者が意味を感じる社会参加のための社会変容がリハビリテーション支援として定着できると考え、本研究は「障害の社会モデル」を重視したリハビリテーションのための内省型研修プログラム開発を目的とした。
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研究実績の概要 |
今年度は、昨年度実施した「障害受容」の臨床での使用状況について理学療法士・作業療法士を対象としてアンケート調査の結果について、統計的な分析を実施し、使用状況の傾向を明らかにした。その結果から内省型プログラム開発に必要な要素についてのヒントを得ることとした。 「障害受容」の使用の有無と職種(理学療法士/作業療法士)にてカイ二乗検定をしたところ、P値0.8であり、関連が認めらなかった。現在の職場(医療保険施設急性期・回復期かその他か)にてカイ二乗検定をしたところ、P値0.0103であり、0.01<P≦0.05にて関連が確認された。特に回復期病棟についてP値0.0002であり、0.01≦Pにて関連が確認された。また「障害受容」の使用の有無と経験年数の相関比は0.0023、P値は0.3396、職場経験数との相関比は0.0010、P値は0.5189であり、相関は認められなかった。さらに「障害受容」の使用の無い群における「自身の主体的な判断で、もともと使用していない」「以前は使用していたが、自身の主体的な判断で使用しないようになった」「使用する機会がない」への回答と現在の職場(医療保険施設急性期・回復期かその他か)にてカイ二乗検定をしたところP値0.0830であり、関連は認められなかった。 以上の結果から、「障害受容」の使用の有無は、職種、経験年数、職場経験数、現在の職場との関連性は低く、質的研究の結果も合わせ、むしろ、療法士個人の内省的機会による倫理的な気づきが大きく影響すると考えられた。 今年度はさらにを障害のある当事者が「障害受容」を療法士から期待される場面は、当事者にとって重要な作業経験を喪失した状況であり、再起のための原動力として、新たな作業への興味の再生成が必要な場面と捉え、作業の選択・継続に影響を与える要因について質的研究より明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、療法士による「障害受容」の使用状況についてのアンケート調査結果について統計的な分析を行うとともに、障害や病のある当事者にとって「障害受容」と称される経験について「重要な作業の喪失経験」と捉え、新たな作業への興味の再生成のために必要な要素について質的研究にて検討を行い、査読付雑誌論文に出版を行えた。 しかし、昨年度の目標であった「障害の社会モデル」の視点を内省的に獲得するための経験学習教材の検討までは行えなかった。しかしながら、その準備のための、アンケート調査結果の統計的分析や、当事者の経験についての資料を一部整えることはできた。 やや遅れている理由として、科研費分担分(代表研究者田中順子氏・研究番号20K00224)や民間助成団体より得た研究助成による研究テーマ(介護老人福祉施設における高齢者と動物の共生のための支援技術 とケア文化-介護職員へのインタビュー調査とフィールドワークからの考察-)の研究遂行にエフォートを割く必要があったため、本研究の研究遂行に十分な時間を割けなかったことがある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であるため、「障害の社会モデル」の視点を内省的に獲得するための研修プログラムの検討と実施までを到達目標としたい。 そのために、1点めとして、病や障害のある当事者にとって新たな作業への興味の再生成に関わる要因について、内容的妥当性を高めるための研究を実施する。 2点めとして、これまでの研究知見を基に、ディビッド・コルブの「経験学習モデル(experiential learning model)」を参考にしつつ、自身の「障害受容」の使用状況を内省的に振り返る機会提供を1つの起点として、「障害の個人モデル」の視点に対する課題の気づきとともに、病や障害のある当事者の経験や視点に基づいた「障害の社会モデル」の視点を内包した支援の在り方への気づきを促進するプログラム内容を検討し、実施による検証までを今年度の研究課題としたい。
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