研究課題/領域番号 |
20K10360
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
下妻 晃二郎 立命館大学, 生命科学部, 特任教授 (00248254)
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研究分担者 |
齋藤 信也 岡山大学, 保健学域, 教授 (10335599)
森脇 健介 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (10514862)
白岩 健 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (20583090)
星野 絵里 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (50598521)
兼安 貴子 立命館大学, 生命科学部, 助教 (90875923)
堺 琴美 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 助教 (30907035)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 医療技術評価 / 多角的価値評価 / 効率性と公平性 / 費用効果分析 / MCDA / 健康効用 / 費用 / 政策意思決定 / 多基準意思決定分析(MCDA) / value assessment / value flower / 医療資源配分 / 医療経済評価 / 医療倫理 / 医療政策 / 意思決定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、わが国の医療提供に関する政策意思決定に、国民の多様な価値観をより多く反映し、意思決定過程の一貫性、透明性を増すことにある。 欧州各国では20年来、政策意思決定制度として、効率性の改善に費用効果分析が、また倫理・社会的な公平性の確保に専門家による合議が応用されてきた。2019年度からわが国では、ようやくこのうち費用対効果評価を主として応用する意思決定制度が開始されたが、国民の多様な価値観を反映した制度設計としては課題が多い。 このため、本研究では、近年世界的に注目されている、多基準意思決定分析(MCDA)を応用した、わが国における、新たな医療政策意思決定システムの確立を目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度も新型コロナ禍が十分収束しなかった中で、本研究班では主に文献調査やweb seminarなどからの最新情報の収集を中心とした活動を行った。その結果を概説する。 医療技術評価(HTA)を応用した政策意思決定においては、(1)効率性の追求と(2)公平性の確保が元来重要である。(1)の評価、すなわち、費用効果分析における効果(QALY)の指標に、健康以外の価値を含めるか、含める場合の価値の範囲や評価方法が議論になっている。例えば、quality weightに従来の健康効用値に加え、医薬品の利便性であるprocess utilityを加味する方法が提案されている。また、近年開発が盛んな認知症の治療薬の評価においては、効果と費用の両方に、介護に及ぼす影響の評価を入れるべきとの考えがある。しかし現時点ではいずれも提案と試みにとどまり、国際的にも手法のガイドラインが発出されるには至っていない。 一方(2)の確保においては、従来行われてきたステークホルダーによるコンセンサス作り、multi-criteria decision analysis (MCDA)のような半定量的評価法、に加えて、近年は、米国を中心としたElements of Value in Health Care(いわゆるValue Flower)で新たに提案された諸価値(従来考慮していた「費用」、「QALY」、に加えて、「生産性」、「医療遵守改善因子」、「不確実性の減少」、「伝染病恐怖」、「保険の価値」、「重症度」、「希望の価値」、「将来の期待利益価値」、「衡平性」、「科学的波及効果」)の評価法やHTAへの反映方法が検討されている(注:欧州のHTAなどではすでに、「衡平性」や「重症度」は考慮されている)。 これらの国際的な最新動向は、来年度もしっかりとキャッチアップする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍の影響で、国際的、あるいは国内における対面による各ステークホルダーを交えた議論や情報収集、インタビュー調査等を十分行うことができていない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本研究班の最終年度に当たる。従来新型コロナ禍の影響で十分行えなかった、研究者や関連ステークホルダーを対象とした、対面およびwebによる議論や調査を積極的に行い、日本におけるHTAの進展に寄与できる新たなエビデンスを構築する予定である。
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