研究課題/領域番号 |
20K10399
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山村 修 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30436844)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | サルコペニア / プレサルコペニア / ダイナペニア / 位相差 / 脚点 / 救急搬送患者 / 救急搬送件数 / 緊急入院件数 / 予定外入院 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)は癌や心不全などあらゆる疾患に併発し、治療成績の悪化や入院・再入院を促す因子として注目されている。サルコペニアは新たな検診対象として注目されており、入院や再入院をコントロールする新たな因子とも位置付けられている。医療撤退が見込まれる地域にとって、入院減少策は喫緊の課題である。本研究では人口減少に陥った地域である福井県三方上中郡若狭町において高齢者を対象としたサルコペニア検診を実施し、対象者の緊急入院や救急搬送件数を比較することで、サルコペニアが高齢者の急性疾患の発症に与える影響を明らかにする。
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研究成果の概要 |
福井県若狭町の高齢者を対象に年1回のサルコペニア検診を実施し、対象者の救急搬送件数、入院者を比較した(登録624例)。十分な記録を有する539名(年齢76.9±8.0歳、女性73%)ではサルコペニア(S群)は7%、プレサルコペニア(PS群)は13%、ダイナペニア(D群)は12%を占めた。入院者はD群が健常群(N群)に対し有意な増加を認めた(p<0.05)。筋肉の質の指標である位相差はS群、D群がPS群、N群と比較して有意に拡大した(p<0.05)。救急車利用者は2022年が1.9%で、2021年の3.5%より大きく減少したが、入院者は2022年が9.3%、2021年は9.7%で変化はなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は人口減少地域における高齢者のサルコペニア、プレサルコペニア、ダイナペニアの有病率を明らかにした。このうちサルコペニア単独では救急搬送件数や入院者数に影響を与えないことが示唆された。新たな概念であるダイナペニアは高齢者の入院に影響を与える可能性が高く、対策の立案が求められる。ダイナペニアが地域に与える影響を論じた研究は少なく、貴重な報告と言える。なお位相角はサルコペニアやダイナペニアの診断を補完する新たな指標となる可能性が高い。 なお、サルコペニア検診により高齢者の救急搬送は減少した可能性があり、地域の公民館レベルでの保健介入は新たなポピュレーションアプローチにつながることが示唆された。
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