研究課題/領域番号 |
20K10415
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
清水 直樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60415594)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 医療安全 / 新興再興感染症 / レジストリ / 小児医療 / 小児救急 / 小児集中治療 / 院内心停止 / 気管挿管 / 新型コロナウイルス感染症 / 心肺蘇生 / 医療品質 / 患者安全 / 働き方改革 / ビッグデータ |
研究開始時の研究の概要 |
2012年以降、小児特定集中治療室管理料が算定できるようになったにも関わらず、わが国の小児病棟ではいまだに重症管理が強いられている。結果、海外と比較して院内心停止事象が多いとされ、医療安全上の問題として指摘されてきた。本研究では、小児病棟環境における安全性につき、既存レジストリのビッグデータを有効利用することで、現状把握と改善方略にかかる科学的根拠を提供する。加えて、小児医療品質と患者安全、さらには医師の働き方改革にかかる、国内Core Registryと連携した全国横断的なベンチマーク基盤や、国際多施設レジストリと連携した国際的ベンチマークとしても機能しうる、今後の発展の端緒ともする。
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研究実績の概要 |
小児病棟環境の安全性につき、現状把握と改善方略の科学的根拠を提供することが本研究の目的である。その為、既存症例レジストリのビッグデータを利用す る。病棟環境安全性評価指標としては、院内心肺蘇生と気管挿管有害事象を用い、小児院内心停止レジストリJNRCPR1,2)と気管挿管レジストリNEAR4KIDS3)を用 いることとした。複数レジストリの基本患者情報をコア情報として共有するためCore Registry4)の開発が完了し、日本集中治療医学会JIPAD5)との比較連携も議 論調整した。小児急性期医療領域での包括的症例レジストリを構築する試みは初めてであり、小児医療の安全性検証とも関連するという観点からも、その意義と 重要性は大きい。さらに、新型コロナウイルス感染症にかかる日本小児科学会症例登録レジストリ、日本小児集中治療連絡協議会の重症例発症把握システム等と の連携も模索することとした。今年度は、コアレジストリの院内導入のためのインフラストラクチャ整備を完成させた。また、病棟医療安全メルクマルとしての院内心停止データ集積と、RRSならびにCritical Deteriorationのデータ収集、小児病棟看護労働力の分析等を検討開始した。 1)Circ J.2011;75(4):815-22. Yokoyama H, Shimizu N, J-RCPR Investigators. 2)日本集中治療医学会雑誌. 2012; 19(suppl): 194. 清水直樹, JNRCPR group. 3)Pediatr Crit Care Med. 2018 Jan;19(1): e41-e50. National Emergency Airway Registry for Children (NEAR4KIDS) and Pediatric Acute Lung Injury and Sepsis Investigators (PALISI) Network. 4)厚生労働科学研究報告書「小児救急医療体制の品質評価・最適化・情報発信のための小児救急医療統合情報シ ステムの開発研究(清水直樹)」 5)https://www.jipad.org
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
医療安全指標としては、心肺蘇生事象発生率・発見から心肺蘇生開始までの時間・緊急気管挿管実施の仔細・ 蘇生薬剤の投与経路確保ならびに投与状況の仔細・電気的除細動実施の仔細・自己心拍再開率・生存退室率・生存退院率・1か月後の神経学的転帰等を用いることとした。さらに、心肺蘇生発生前の切迫心停止事象については、しばしば実施される気管挿管処置にまつわる関連有害事象として、低酸素発生率・低血圧発生 率・心停止発生率・生命転帰等を用いることとした。JNRCPR, NEAR4KIDSは、小児急性期医療における重篤小児症例の診療プロセスにおいて発生した各種事象を登録する独立したレジストリであるが、それらの発生母体となる重篤小児自体の症例レジストリも必要となり、それがCore Registryとなる。Core Registryは先行研究により基本骨格が完成しているが、JNRCPRとNEAR4KIDSとの連携は未開発であった。今年度はこの連携部分の開発準備を行った。また、小児一般病棟の重篤小児症例の Core Registryへの登録を進める作業を開始した。さらに、小児一般病棟との比較対象として設定した小児特定集中治療室の重篤小児症例のCore Registry重複情報が、JIPADから得られるようにする仕組みも準備した。次年度以降は、小児一般病棟と小児特定集中治療室から得られるCore Registry情報と、それに連結したJNRCPRならびにNEAR4KIDS情報とを用いた比較検討を具体的に進めてゆく予定である。今年度は、コアレジストリの院内導入のためのインフラストラクチャ整備を完成させた。また、病棟医療安全メルクマルとしての院内心停止データ集積と、RRSならびにCritical Deteriorationのデータ収集、小児病棟看護労働力の分析等を検討開始した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策は以下のとおりである。 1)JNRCPRならびにNEAR4KIDSとCore Registryとの連携開発を完成し、医療安全評価指標について検討する 2)小児一般病棟(聖マリアンナ医科大学小児科学講座) 重篤小児症例のCore Registryへの登録作業を継続する 3)小児特定集中治療室(東京都立小児総合医療センターPICU)の重篤小児症例のCore Registry重複情報 を、JIPAD経由で入手する 4)小児一般病棟と小児特定集中治療室から得られるCore Registry情報と、それに連結したJNRCPRならびにNEAR4KIDS情報とを用いた比 較検討を具体的に進めてゆくとともに、全国展開のための社会的調整も進める 5)新型コロナウイルス感染症にかかる日本小児科学会症例登録レジストリ、日本 小児集中治療連絡協議会の重症例発症把握システム等との連携を進めるとともに、将来の感染症Xに対する準備や、サーベイランス機能についても検討を進める。今回は特に、新型コロナウイルス感染症にかかる日本小児科学会症例登録レジストリ、日本小児集中治療連絡協議会の重症例発症把握システム等との連携を進めるとともに、将来の感染症Xに対する準備や、サーベイランス機能についても検討を具体的に進めるところまで到達できた。今年度は、コアレジストリの院内導入のためのインフラストラクチャ整備を完成させた。また、病棟医療安全メルクマルとしての院内心停止データ集積と、RRSならびにCritical Deteriorationのデータ収集、小児病棟看護労働力の分析等を検討開始したので、今後はこの方向性をさらに深掘りしてゆく。
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