研究課題/領域番号 |
20K10426
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
嵯峨 知生 秋田大学, 医学部附属病院, 准教授 (80459809)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 抗菌薬耐性菌 / 渡航 / 世界流行系統 / 次世代シーケンサ / 耐性菌 / 渡航者 / 地域伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
すでに出来上がった耐性菌が地域を越えて分布する『世界流行系統』耐性菌は存在が明らかにされつつあるがその伝播経路は未解明である。市中の健常者の渡航が医療現場の耐性菌に及ぼす影響は未評価である。申請者は地方の医療現場にも海外からの報告と共通性質を持つ『世界流行系統』耐性大腸菌ST131-fimH30が存在することを報告してきた。 本研究は、渡航による耐性菌獲得および渡航者が地域の医療現場の耐性菌に及ぼす影響の直接評価を目的とし、次世代シーケンサを活用した渡航者獲得菌の全ゲノム解析での近縁性評価と耐性菌の系統組成の評価系の構築を行う。耐性菌の伝播遮断による根本的な耐性制御の意義は大きい。
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研究実績の概要 |
抗菌薬耐性菌の増加は今や深刻な国際的脅威と認識されている。耐性菌は、従来から考えられてきた患者体内での選択ではなく、すでに出来上がった耐性菌が地域を越えて分布する『世界流行系統』耐性菌が存在することが明らかにされつつある。しかし世界流行系統の伝播経路は未解明であった。また、渡航は耐性菌獲得リスクだが、市中の健常者の渡航が医療現場の耐性菌に及ぼす影響は未評価である。耐性菌の伝播実態の解明を通じて伝播遮断による根本的な耐性制御につなげることを狙っている。 地方の医療現場にも『世界流行系統』耐性大腸菌ST131-fimH30が存在し、その性質は海外からの報告と共通していたというこれまでの研究成果に立脚し、渡航による耐性菌獲得および渡航者が地域の医療現場の耐性菌に及ぼす影響を直接評価することを目的として、次世代シーケンサを活用した渡航者獲得菌の全ゲノム解析での近縁性評価と耐性菌の系統組成の評価系の構築を行うための準備を進めてきた。昨年度までに、自施設で臨床分離されたST131-fimH30大腸菌14菌株の配列は、極めて近縁のペアが3組あったのみで、それ以外の菌株間の系統は互いに離れており、当院よりも海外分離株のほうが近縁である場合が多かった。複数の亜系統の耐性大腸菌の世界的伝播の一端が当院で観察された貴重な知見であると考えている。 今年度は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響のためこれまで整備が遅れていた臨床分離菌の遺伝子解析の実施環境の整備を行った。次世代シーケンサとして従来から保有していたIllumina社製に加えてOxford Nanopore technologies社製を追加導入し、GPU(画像処理装置)でのデータ高速処理環境を整備することができた。あわせて耐性菌および渡航医学に関するこれまでの研究成果を踏まえた演題を国際学会1件、国内学会1件で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外渡航自体の制約は解除されてきたものの、引き続き今年度も新型コロナウイルス感染症のパンデミックのため、感染制御の現場も新型コロナ感染症対応に追われる状況が続いており、渡航者を対象とする本研究への影響は大きかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症のパンデミックで海外渡航自体の制約はおおむね解除され、本研究の進展の機運は高まっている。そのような中、次世代シークエンサ活用環境に加えてin silicoでの系統解析や薬剤感受性測定環境を整備することができた意義は大きい。パンデミックの影響はいまだ大きいものの、渡航者を対象とする本研究の検体採取が可能となっている次年度はこれらを活用して研究の進展を図りたい。
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