研究課題/領域番号 |
20K10432
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
嶋田 照雅 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (00264812)
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研究分担者 |
安木 真世 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (40589008)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 薬剤耐性感染症 / 伴侶動物 / 伝播 / 第3世代セファロスポリン耐性腸内細菌科細菌 / 第三世代セファロスポリン耐性腸内細菌科細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は現在までに、伴侶動物は病原性の第3世代セファロスポリン耐性腸内細菌科細菌(3GCR)を保菌すること、更に全ゲノム配列情報から少なくともその一部はヒトと伴侶動物間で伝播する可能性があることを明らかにした。しかし評価の対象となった例数が少なく、またヒトを含めた周辺環境の耐性菌調査を行っていないため、正確な評価には至っていない。本研究では、伴侶動物・周辺環境・ヒトからの3GCRの分離同定ならびにその全ゲノム情報に基づいた性状解析・宿主間の比較解析を行う。それら結果を基に学術知見の積み上げを行い、伴侶動物由来3GCRの環境への拡散・ヒトへの伝播の可能性をより正確に言及することを目指す。
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研究実績の概要 |
薬剤耐性菌(第3世代セファロスポリン耐性腸内細菌科細菌:3GCREnt)の伝播において伴侶動物の役割と影響を明らかにすることを目的としている。本年度の成果は以下の通りである。 2018年から2023年に分離同定されたイヌ・ネコ由来3GCREnt48株と2022年に分離同定された獣医療従事者由来3GCREnt7株を全ゲノムシーケンス解析し、薬剤耐性bla遺伝子保有プラスミドの近縁性を評価した。動物とヒトの間で相同性の高いプラスミドは検出されず、動物病院内での耐性遺伝子保有プラスミドの異種間伝播の証拠は得られなかった。一方IncI/blaCMY-2、IncFII/blaCMY-2、IncFIB/blaCTX-M-15プラスミドでは、異なるイヌ間でそれぞれのプラスミドの相同性が95%以上であったことからイヌ間でのそれぞれのプラスミドの伝播が示唆された。ヒト由来3GCREnt大腸菌のIncI1/blaCTX-M-55プラスミドはデータベースに登録されているブタと鳥由来大腸菌の同型プラスミドと高い相同性を示し、異種間伝播する可能性が示された。更にヒト由来サルモネラ菌・赤痢菌・肺炎桿菌由来同型プラスミドとも高い相同性を示し、様々な菌に移動する可能性が示された。またイヌ・ネコ由来IncFIB/blaCTX-M-15プラスミドやIncI/blaCMY-2プラスミドはデータベース上のヒト由来の同型プラスミドとそれぞれ高い相同性を示し、異種間伝播する可能性が示された。 これら知見は未だ世界的に報告がなく、薬剤耐性菌伝播における伴侶動物の役割と影響の理解につながる重要な新規知見と考えられた。
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