研究課題/領域番号 |
20K10453
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
与五沢 真吾 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70381936)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 酸化亜鉛ナノ粒子 / 分化 / セネッセンス / 金属酸化物 / ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化亜鉛などの金属酸化物ナノ粒子は、その高機能ゆえに化粧品などへの需要が拡大しているが、炎症誘発などの報告もある。炎症誘発機構は主に細胞に金属酸化物ナノ粒子を直接曝露して研究されてきたが、金属酸化物ナノ粒子は不溶性で二次粒子を形成するため皮膚に塗布されても大部分は角質層にとどまるため安全だとする意見もある。だが、大部分は角質層に留まるとしても、角質層直下の一部の曝露を受けた角化細胞からサイトカインなどのメッセージ物質が放出され、免疫機構が攪乱される可能性がある。そこで、皮膚角化細胞と免役系の細胞を金属酸化物ナノ粒子を通過させないと考えられるビトリゲル膜で仕切って共培養させる実験系を確立したい。
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研究実績の概要 |
酸化亜鉛などの金属酸化物ナノ粒子は化粧品として高機能を有し、UVカットニーズを背景に需要が拡大している。一方で、直接曝露された細胞に酸化ストレス、アポトーシス、炎症が誘導されるなどの報告がある。 酸化亜鉛ナノ粒子(ZnONPs)は不溶性で、凝集して100~200nmの二次粒子径を呈する。経皮曝露ではほとんどが角質層にとどまり、細胞毒性を生じないと考えられているが、一部は毛孔や汗腺のような細孔部や傷口に蓄積し、そこから侵入する可能性が考えられている。 昨年までに培養細胞を用いたin vitroの実験で、ZnONPsの曝露により分化が誘導され、インボルクリンの発現上昇がみられたことから、角質層の角化外膜であるコーニファイドエンベロープ形成が促進され、バリア機能が向上する可能性が考えられた。一方で、分化の他にセネッセンスも誘導され、ブレオマイシン水解酵素(BH)の発現低下も確認された。BHが低下すると皮膚において天然保湿因子(NMF)産生が抑制され、保湿機能が低下する可能性が考えられる。つまりZnONPsは、皮膚バリア機能に対して正にも負にも影響しうると考えられる。そこで培養細胞を用いるのではなく、マウスの皮膚にZnONPsを塗布することで、正負どちらの影響が強いのか調べることにした。方法は「産業化学物質のマウス経皮ばく露方法の検討」労働安全衛生研究2019;12(3):195-8.に従い、マウスの背中を電気バリカンで剃毛し、表面に傷をつけてZnONPsを塗布し、5日間経過後、皮膚を切り出し、インボルクリンやBHの発現を免役組織化学的に観察した。酸化亜鉛塗布群で若干角層が厚くなった様子が観察されたが、インボルクリンやBHの染色パターンに目立った変化はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養細胞に対する酸化亜鉛ナノ粒子の影響を動物で調べることになり、共培養系の実験に着手できていない。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験で角質に及ぼす変化をみることの困難は確認できたので、動物実験はここまでとし、共培養によるIL-8放出の相乗効果について調べていく。
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