研究課題/領域番号 |
20K10454
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
宮山 貴光 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20620397)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ナノ粒子 / 銀 / オートファジー / 小胞体ストレス / リソソーム / 肺がん / 神経芽腫 / Rubicon / インフラマソーム / サルブリナル / NLRP3 / eIF2α / 銀ナノ粒子 / プログラム細胞死 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノ粒子は、プログラム細胞死を誘導することから、がん治療を目的としたナノドラッグの創薬開発が期待されている。しかしながら、そのメカニズムは未だ明らかにされていない。そこで本研究では、多種多様なナノ粒子の中でも臨床応用に適した銀ナノ粒子を用いて、近年、がん細胞のプログラム細胞死を制御しているとして注目されているオートファジーとインフラマソームに着目し、分子細胞生物学的手法と分析化学的手法の双方の評価方法を用いて、銀ナノ粒子が、肺がん細胞のプログラム細胞死を誘導するメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
前年度までに得られた銀ナノ粒子による肺がん細胞の細胞死誘導メカニズムを比較検証するため、神経芽腫のモデル疾患細胞であるSH-SY5Yを用いて実験を継続した。 銀ナノ粒子をSH-SY5Y細胞へ処理して、オートファジー・リソソーム系の評価を行ったところ、タイムラプスライブセルイメージングにより、オートファゴソームの蓄積が経時的に増大する様子を認めた。銀ナノ粒子処理により、リソソームのマスターレギュレーターであるTFEB(transcription factor EB)の発現が抑制される既存の現象に加え、オートファジーのネガティブレギュレーターであるRubicon(RUN domain and cysteine-rich domain containing, Beclin 1-interacting protein)の増大を同時に認めるという新規の現象を観察した。 前年度に検証済みの銀ナノ粒子による小胞体ストレス応答の増大のみならず、上述の結果を包括的に考察すると、オートファジーの破綻形態メカニズムの新たな知見と細胞死の関連性をさらに深める機会につながった。すなわち、銀ナノ粒子の細胞死誘導の新たなターゲットが、近年注目されつつある小胞体ストレス/オートファジーの連携機構に存在するものと示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、2020年度より続く新型コロナウイルス感染症の流行により、連携する他の研究施設への訪問が制限されるケースが継続していた。また、一部の試薬や研究資材の納入に遅れが生じることもしばしばあった。学会参加においては、現地開催とオンライン開催のハイブリッド型の参加形態が主流となり、研究者同士の活発な議論や意見交換の機会を得難い状況が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
近年、相次いで報告されている小胞体ストレス/オートファジーの連携機構と銀ナノ粒子の細胞死との関連性が想定される。 すでに、オートファジーの進行プロセスに小胞体膜が必須であることや(Nat Cell Biol, 2017, J Biomed Sci, 2020)、種々のナノ素材が小胞体ストレス応答を引き起こすこと(Nanotoxicology, 2018, Part Fibre Toxicol, 2020)、小胞体ストレス応答の因子がオートファジーを調節すること(Arch Toxicol 2017, Clinical Science, 2020)がそれぞれ報告されている。 今後は、上述の個々の先行研究と本実験で得られた検証結果を含めて研究展開をはかっていく予定である。
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