研究課題/領域番号 |
20K10456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
平田 幸代 日本医科大学, 医学部, 助教 (40322515)
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研究分担者 |
川田 智之 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00224791)
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
李 英姫 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60350039)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | コリンエステラーゼ / Sandwich ELISA / オレイン酸 / DELFIA / 脂肪肝 |
研究開始時の研究の概要 |
①血清ChEのSandwich ELISAの再現性、安定性、感度を向上させるために、新たにモノクローナル抗体を作製する。 ②In vitroの脂肪肝モデルを用い脂肪蓄積量とChEとの関連性について、OAの濃度変化、添加後の経時変化におけるChEおよび肝で産生される蛋白の変化を遺伝子レベルおよび蛋白レベルで測定、解析を行う。 ③ヒトの肝における脂肪沈着量と血清ChEとの関連性については、バイオバンクより得られた検体のChEを測定し、脂肪沈着量や血液検査等の患者情報と合わせ解析を行う。
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研究実績の概要 |
①血清ChEのSandwich ELISAの再現性、安定性、感度の向上:昨年度に引き続き、DELFIAを用いた測定法についてさらに検討を行った。バックグラウンドの低い蛍光用マイクロプレートを採用し、時間分解蛍光の測定条件を変更することで再現性や安定性が改善したものの、感度はテトラメチルベンジジンによる発色のELISAと比べ2倍程度であり、大きく向上させることはできなかった。 ②In vitroの脂肪肝モデルを用いた脂肪蓄積量とChEとの関連性の検討: 1)OAの濃度変化における脂肪蓄積量への影響:HuH-7細胞をカルチャーカバーガラスへ播種し、OA添加24時間後に固定し、Oil Red O溶液およびヘマトキシリン溶液で染色した。OA濃度の上昇に伴い、脂肪滴が大きくなり、数も増加した。画像解析により細胞当たりの脂肪滴の面積を比較したところ、OA濃度の上昇に伴い細胞当たりの脂肪滴の面積は増加し、今回添加したOAの最大濃度である0.6mMは0mMの約74倍であった。 2)OAの濃度変化によるChE発現および抗原量への影響:HuH-7細胞を48wellプレートへ播種し、24時間後に種々の濃度でOAを添加し、添加後9日目と12日目にtotal RNAおよび培養上清を採取した。RT-PCRによりG3PDHをコントロールとしてChEのmRNA量およびChE抗原量の測定を行ったところ、OA濃度の上昇に伴い、ChEのmRNA量、培養上清中のChE抗原量はともに増加傾向を示した。 以上の結果から、OA添加による脂肪蓄積の上昇とChE抗原量および発現量は正の相関性が見られ、OAによる脂肪の産生あるいは蓄積とChEには関連がある可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試薬製造の停止および遅延により、試薬の調達が半年以上遅れた。従って、試薬節約のため当初考えていたサイズでの実験を行うことができず、スケールダウンを余儀なくされ、これらの条件検討等に時間を要したためである。また、ELISAの感度向上を行うためのDELFIA測定では、感度の向上および値の再現性、安定性の確保において想定以上の時間を要したためである。
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今後の研究の推進方策 |
①オレイン酸(OA)の経時変化によるChE発現および抗原量への影響の検討:OAの濃度変化によるChE発現への影響を遺伝子レベルおよび蛋白レベルで解析を行う。OAを最終濃0.4mMで添加し、添加後0, 3, 6, 9, 12日後に培養上清および細胞可溶化液、別にtotal RNAを採取する。遺伝子解析では、RT-PCRを行い、G3PDHをコントロールとして、ChEのmRNAの変化を確認する。細胞上清および細胞可溶化液については、ChEの抗原量、活性の測定を行う。同じサンプルを用いて、肝細胞から分泌あるいは特異的に産生される蛋白質(アルブミンやトランスフェリンなど)を測定し、比較する。 ②ChE活性の測定方法の検討および選定:ChE活性測定方法として、基質の種類や発色方法などを調べ、HuH-7細胞の培養上清中の活性を測定できる方法を検索する。また、活性測定ができるような培養条件等の変更が必要であれば実施する。 ③ヒト血清中のChE抗原量測定および活性測定の検討:HuH-7細胞の培養上清の結果を踏まえ、市販のプール血清等を利用し、ChE抗原量の測定条件および活性の測定条件の検討を行う。さらに比活性を算出する。 ④ヒトのデータ取得に向けての情報収集:ヒトのデータでの解析に向けた情報収集を行う。同時に人間ドックのデータを用いて脂肪肝と血清ChEとの関連性について解析を行う。さらに、バイオバンクでどのようなデータを得られるのか、ヒト血清中のChE抗原量および活性の測定条件、サンプルサイズ等を考慮し、可能であれば測定を行う。
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