研究課題/領域番号 |
20K10459
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
塩田 澄子 就実大学, 薬学部, 教授 (00368698)
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研究分担者 |
山田 陽一 就実大学, 薬学部, 講師 (30610927)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | MRSA / 院内感染対策 / バイオフィルム / 薬剤感受性 / 臨床分離株 / バイオフィルム形成 / CA-MRSA / POT型 / HA-MRSA / 病原因子 |
研究開始時の研究の概要 |
院内感染対策により、多剤耐性菌として問題となるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の分離率は減少傾向にあったが、ここ数年減少率は止まっている。関連病院で分離されるMRSAの性状を解析すると、MRSAの種類が入れ替わり、外来からもたらされるCA-MRSAが急増し、中でも長期にわたり定着する株の存在が明らかになった。これらの株は、何らかの理由で従来の感染対策では排除しきれないことが示唆された。本研究ではCA-MRSAが院内に蔓延る因子を特定することにより、急増するCA-MRSA株の院内への定着と感染を防ぐための方略を構築する。
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研究成果の概要 |
2011年度~2021年度まで4期に分けて、MRSAの臨床分離株を収集し、POT型を決定し性状を解析した。各期間に、院内感染とみられる同一のPOT型をもつ複数の菌株(重複POT型株)が分離された。1~4期の全期間に継続的に分離された重複POT型株がある一方、2期以降に流入した重複POT型株が、院内に定着していることが示された。 バイオフィルム(BF)形成能を比較したところ, 継続的に分離されている株の方が高いBF形成能を示す傾向にあり, 院内定着にBFの形成が関与していることが示された。BF形成能の高い株ではBFの成分として、細胞外DNAの割合が減少し、タンパク質の割合が増加する傾向がみられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一病院にて11年間で臨床分離されたMRSAを調べた結果、経年的に院内感染を起こすMRSAのPOT型の種類が増加し、新たなMRSAが院外から流入し、院内に定着していた。継続して分離される株のBF形成能は高い傾向があり、MRSAの定着にBF形成能が大きく関わっていた。BF形成を阻止するために、BFを形成する主たる成分の割合を調べた。また、耐性菌の観点から、化学物質を使わずBF形成を抑制する手法も検討をしている。2016年のAMR対策アクションプランの「2020年までのMRSAの分離率20%」の達成は抗菌薬の使用料の削減だけでは難しく、BF形成に焦点を当てた対策を推進していくことが重要となる。
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