研究課題/領域番号 |
20K10472
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森保 妙子 長崎大学, グローバル連携機構, 助教 (80833186)
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研究分担者 |
金子 聰 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00342907)
丸山 幸宏 長崎大学, 経済学部, 教授 (30229629)
本西 泰三 関西大学, 経済学部, 教授 (90315218)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ワクチン接種率 / 内的動機づけ / 行動的エンゲージメント / 狂犬病 / 行動変容 / 狂犬病対策 / ワクチン / ベースライン調査 / KAPギャップ / ナッジ / ランダム化比較実験 / 行動経済学 |
研究開始時の研究の概要 |
狂犬病は発症すると、ほぼ100%死亡する極めて危険な人獣共通感染症である。ほとんどのヒト症例は、感染した犬に咬まれることで起こることから、その対策としては、犬に狂犬病ワクチンを接種することが最も有効な手段である。その地域の犬の7割が予防接種を受けていれば、十分な予防効果があると言われいているが、ザンビア共和国のワクチン接種率は2割に満たない。本研究は、飼い犬へのワクチン接種が進まない原因を特定すること、行動経済学の知見を活用して飼い主が犬をワクチン接種に連れて行きたくなるような介入プログラムを開発すること、そして、そのプログラムの有効性を証明することで、狂犬病対策の推進に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、狂犬病対策として最も費用対効果の高い犬のワクチン接種率を向上させるための介入プログラム開発に関する理論的、実証的研究であり、令和4年度は令和3年度(3年目)までに行ったベースライン調査とエンドライン調査の解析を行った。介入として行ったコミュニティの世帯代表者を対象とした参加型ワークショップの影響により、介入群と非介入群の間で有意な知識の向上は見られなかったが、ワクチン接種率自体は有意に上昇した。本年度は、この要因を介入が世帯代表者のモチベーションを向上させたという仮説を立て、その要因の検討を行った。その結果、世帯代表者を対象とした参加型ワークショップを開催したことが、地域住民の心理的欲求の充足を通して行動的なエンゲージメントに繋がったのではないかと考えられた。ワークショップでは、住民が狂犬病という課題を主体的にとらえ、自分たちのコミュニティで何ができるかを自由に自発的に話し合うようにサポートを行った。これにより、ワークショップの中で住民の自立性への欲求が充足され、地域内での狂犬病課題に対する他者との関わりあいが生じたと考えられる。また、ワークショップの中では、ワクチン接種の手続について制度的なサポートに関する情報を提供したことで、住民が自分たちでできることに取り組もうとするコンピテンスへの欲求が促進されたことも、住民が自ら行動を起こしワクチン接種率の向上に貢献したと考えられる。令和5年度は、この住民の内的動機づけに関して社会心理学的側面からさらに考察を加え、今後の狂犬病対策に貢献できるような知見を得るために、国内の研究協力者との研究会を開催する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19パンデミックの影響により、コミュニティでの介入が1年遅れ、かつ、介入内容も変更となった。このため、解析も1年遅れとなっており、研究期間を1年延長した。
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今後の研究の推進方策 |
コミュニティでのベースライン調査、介入、エンドライン調査が終了し、そのデータ解析から得られたワクチン接種率に影響を与える要因について、社会心理学的観点からさらに考察を加える。
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