研究課題/領域番号 |
20K10474
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
|
研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
川越 雅弘 埼玉県立大学, 大学院保健医療福祉学研究科, 教授 (00435778)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 糖尿病性腎症 / 受診勧奨 / eGFR / 医療レセプト / 人工透析 / 重症化予防 / レセプト分析 |
研究開始時の研究の概要 |
埼玉県では,2014年に糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し,約8割の県内自治体参加のもと,年間に約5千人への受診勧奨と約700人への保健指導を実施してきたが,①勧奨後の受診率が低い,②効果検証方法が未確立,③対象者が国保に限定など,他地域と同様の課題が明らかとなってきた。 そこで,本研究では,事業参加市町村の国保及び協会けんぽの複数年の健診・レセプトデータを用いて,受診勧奨に関する3つのサブ研究(研究1:勧奨方法の課題抽出と改善策の検討,研究2:受診勧奨の短期・中期・長期効果分析,研究3:新たな受診勧奨方法の試行とその効果検証)を行い,効果的な受診勧奨方法の確立を図ることを目指す。
|
研究実績の概要 |
これまで、埼玉県の糖尿病性腎症重症化予防事業における受診勧奨対象者を、勧奨後1年以内に受診につながった群(受診群)と受診につながらなかった群(非受診群)に分けた上で、受診勧奨の短期・長期効果を国保レセプトにて分析し、1) HbA1cは開始時点で受診群の方が有意に高いが、時間経過とともに有意差が解消されていくこと、2)BMIは両群とも数値は改善していくこと、3)eGFRは両群とも悪化し続けることなどを明らかにしてきた。 これら分析から、受診勧奨効果は確認できたが、受診群の中にも、その後eGFRを維持できている群と悪化している群があることもわかった。そこで、本年度は、受診群をさらにeGFR維持群と悪化群(1年後にeGFR区分が悪化した群)に分けて、両者の差異を分析した。 その結果、1)対象者2,972人のうち、勧奨翌年にeGFR区分が悪化した者(悪化群)が11.7%いること、2)勧奨年度のHbA1cをみると、「悪化群」7.35±1.67、「改善維持群」6.89±1.15と、悪化群で有意に高いこと、3)血圧、BMI、尿蛋白には有意差はなかったことなどが明らかとなった。 今回の分析から、受診勧奨後に受診した者のうち、受診後eGFRが悪化してしまった者について、開始時点のHbA1cの高さで推測できる可能性が示唆された。現在、受診勧奨におけるHbA1cの基準は6.5%以上となっているが、7.0%ないし7.5%以上の者に対しては、腎機能低下が予見できることから、糖尿病専門医と腎症専門医の連携による医療提供が必要であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、3つのサブ研究(研究1:勧奨方法の課題抽出と改善策の検討,研究2:受診勧奨の短期・長期効果分析,研究3:新たな受診勧奨方法の試行とその効果検証)を設定して、研究を進めている。中心テーマは研究2であり、この部分についてはおおむね予定通り進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでのデータ分析ならびに関係者へのヒアリングから、1)人工透析につながる割合は低く、長期間のデータ観察が必要なこと(ただし、国保と後期高齢者医療制度は別になっているので、構造上長期把握が困難)、2)受診につながっても約1割は受診後にeGFRが悪化していること、3)75歳以上の場合、外来受診をしている割合が高いが、指導内容を実践できていない可能性があること(食事・運動など)などがわかった。 そこで、本年度(4年目)は、1)人工透析移行群の過去の健診データの経時変化分析(後ろ向き研究)、2)受診を促すための対策の検討:後期高齢者への受診勧奨や生活習慣病管理の一方法として、通いの場などを活用した指導方法を検討することとする。
|