研究課題/領域番号 |
20K10489
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
河野 稔明 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 地域精神保健・法制度研究部, 客員研究員 (90770438)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 精神保健福祉法 / 自傷他害 / 通報 / 精神保健診察 / 措置入院 / 退院後支援 / 事例検討 / データベース / 措置診察 / 事例検討会 / 23条通報 / 都道府県 / 地域精神保健 |
研究開始時の研究の概要 |
精神保健福祉法に基づき警察官などから通報された事例について、通報への対応や通報対象者への事後支援の振り返りと方針の検討を定期的に行っている、一政令指定都市の取り組みをベースにした研究である。記録の分析と取り扱う情報の検証を踏まえて、通報事例データベースの構築を目指す。これを活用することで、地域で精神保健の支援ニーズを抱えた人々に、自治体がより適切な支援を届けることが可能になると期待される。
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研究実績の概要 |
令和3年度までに、精神保健福祉法の通報等に対する診察要否診断、支援方針決定、計画支援要否判断に関連する要因の分析を行った。また、「個別票」に替わって新たに導入された「被通報者支援台帳」の運用および通報等対応・退院後支援の実務を観察し、それを踏まえて通報等事例データベース構築に必要な情報と考慮事項を整理した。 令和4年度は、これらの成果に基づいて、被通報者の転帰に関連する要因の分析と、被通報者支援台帳項目の妥当性検証を行う計画であったが、後述するとおり、関連する他の作業を優先することとなったため、進捗が遅れている。代わりに、被通報者支援台帳の構成項目について、値の形式、繰り返しの有無、固定/可変の別、空白許容の可否、入力可能な値が他の項目の値に依存して受ける制限の有無などのプロパティを整理した。また、被通報者への対応および支援を行う行政職員の所属部署は複数にわたり、被通報者の基本情報を取得する職員、台帳に記録する支援を提供する職員は多数いるため、情報の取得または発生から被通報者支援台帳への入力までには時差が生じることがあるが、その可能性と程度を項目別に評価した。さらに、同一の被通報者が複数回にわたって通報等の対象となる場合、各回の通報では過去の通報への対応の経緯も考慮して対応を行うこととなり、同一人物であっても事例としては異なる部分が生じる。その変化する部分が関係する項目も、通報等事例データベース設計時の考慮事項として整理した。これらはデータベースのフォーマットを作成する上で重要な情報となるため、今後の進捗を速める効果があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度は、被通報者支援台帳から抽出した情報に基づき、転帰に関連する要因を分析するとともに、転帰のみで支援の成果を評価することのは難しいことから、支援プロセスの評価も併せて検討する計画であった。また、転帰の要因分析の結果を踏まえつつ、職員へのヒアリングを通じて被通報者支援台帳の項目の妥当性を検証することとしていた。しかしながら、研究代表者の所属組織では、精神保健福祉法の通報等対応業務に限らず、所管する他の事業も含めて、支援対象者の情報を管理する方法の改善・標準化に取り組むこととなり、その作業に多くの時間を費やしたため、本研究に十分なエフォートを確保することができなかった。 通報等対応業務については、標準化された方法に則って管理できる情報は結果的にごく一部となり、本研究の当初の計画どおり事例データベースを構築する必要性は変わらなかったが、他の事業の支援対象者台帳の見直しに関与した経験から、対象者基本情報の年度繰越の方法や、支援記録シートの最適な分割方法など、データベースの設計に応用可能な知識を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、令和4年度に実施予定であった作業を遂行し、最終目標である通報等事例データベースのフォーマット作成をめざす。 未実施となっている被通報者支援台帳の情報に基づく転帰関連要因の分析、および被通報者支援台帳の項目の妥当性検証については、令和3年度末に決定した方針に則って推進する。前者については、令和3年度に改訂された被通報者支援台帳の項目構成に応じて見直した方法により統計解析を行う。後者については、前者の解析結果を踏まえて変更・追加が望ましい項目があるかどうかを検討するとともに、必要に応じて通報等対応および退院後支援を担当する部署の職員へのヒアリングを行う。 これらの成果を踏まえて、最終目標である通報等事例データベースのフォーマット作成を行う。フォーマットは単に項目を列挙した入力欄ではなく、今後の長期的な運用を考慮し、入力値のマスタ化、データ形式の統制など、適切な仕様を備えたデータ格納様式として作成する。必要に応じて情報処理の専門家または業者の技術支援を受け、担当部署の職員に意見を求めながら作業を進める。技術支援や意見聴取には相当の時間を要するため、フォーマット作成は令和4年度に整理した台帳項目のプロパティを参照しながら、上記の要因分析、妥当性検証に並行して着手する。
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