研究課題/領域番号 |
20K10510
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 京都府立大学 (2021-2023) 人間総合科学大学 (2020) |
研究代表者 |
奥田 奈賀子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80452233)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 高血圧 / 栄養 / ナトリウム / カリウム / 社員食堂 / ポピュレーションアプローチ / 介入 / 減塩 / カリウム摂取 / 職域 / 給食 / Na/K比 / 介入研究 / ポピュレーションストラテジー / 高血圧予防介入 / カリウム摂取増加 |
研究開始時の研究の概要 |
高血圧は脳卒中、認知症の危険因子であり、社会の活力維持のため予防が喫緊の課題である。高齢者では高血圧有病率は7割を超え、予防のポピュレーション対策手法が必要である。本研究では我々がパイロット介入研究で尿中Na/K比低下効果を確認した「低ナト・カリ比(Na/K)食」と標準食を事業所社員食堂(2か所、利用者計400名)で提供するクロスオーバー介入研究を実施し、標準食時と比較して低Na/K食時で血圧値が低下するかを検証する。 予備研究として、高塩分であり習慣的摂取者が多いインスタントラーメンについて、低Na/K比スープと通常スープとの識別性に関する官能評価試験を行う。
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研究実績の概要 |
研究計画に基づいて、大阪市内事業所で2022年11月から12月にかけて参加者の募集を行い、2023年の1月から3月にかけてベースライン調査と社員食堂介入(ナトカリ食の実施と牛乳の提供)を行った。介入は、事業所内の2か所の食堂で、それぞれ4週間ずつ介入食と普通食をクロスオーバーで提供した。従業員男女166名(平均年齢44.3歳、82.5%が正常血圧~高値血圧)が6回の調査会場での測定(血圧測定、スポット尿の提供を含む)を含むすべての調査手順に協力した。参加者は、介入食期間中にはナトカリ食を喫食するとともに牛乳またはヨーグルトを摂取した。介入食期間と普通食期間の収縮期血圧(mmHg)の平均値(標準偏差)は116.4(14.6)vs.115.7(13.5)で有意差はなかった(P=0.141)。尿Na/K比(mmol/mmol)の平均値(標準偏差)は普通食期間に4.41(2.20)、介入食期間に3.94(1.90)であり、牛乳+ナトカリ食期間に0.46(2.19)有意に低値だった(P=0.007)。味付けについて「ちょうどよかった・濃かった・薄かった」で評価させたところ、普通食で73.7%、ナトカリ食で69.1%が「ちょうどよかった」と回答し、評価に差はなかった。参加者の約9割が乳・乳製品として低脂肪ヨーグルトを選択、摂取した。 大半が非高血圧の勤労世代の集団において、社員食堂での低Na/K調味料の使用と牛乳の提供は、血圧に対する影響はみられなかったものの、低Na/K調味料を昼食以外の食事にも使用し、乳・乳製品の使用が習慣化すれば、Na/K比の効果的な低下と、長期的な血圧上昇の抑制が期待し得ると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ対策の影響で、介入研究の実施時期は遅れたが、2023年の3月に調査手順を終えることができた。今後は、学会発表、論文公表を行う。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、正常血圧者を多く含む勤労世代に対してK代替塩(低Na/K比調味料)と牛乳による給食介入を行った始めての研究である。本研究の実施にあたっては、社員食堂での料理提供、材料の特性を詳細に検討したうえで、使用する低Na/K比調味料を検討し、研究で使用する独自の低Na/K比調味料の新たな開発も行った。今後は、本研究の計画において行った社員食堂メニューの詳細な検討、実際の料理のNa, K量測定結果、介入研究の結果(血圧値、尿Na, K、対象者の食傾向)についての成果公表を勧める。
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