研究課題
基盤研究(C)
膠原病などの自己免疫性疾患で陽性となる自己抗体は加齢などにより陽性率が上昇するが、その要因と臨床的な意義は未だ明らかとなっていない。本研究では、一般住民集団男女を対象とした前向きコホート研究『神戸トライアル』『鶴岡メタボロームコホート研究』を基に、これらのベースライン調査時の自己抗体陽性率と、追跡調査における陽性率の推移、認知症・フレイル・生活習慣病及び循環器疾患の新規発症との関連を検証し、一般集団における自己抗体発現の臨床的・生物学的意義の考察を進め、自己抗体の陽性と認知症・フレイル・生活習慣病及び循環器疾患の関係を評価し、ハイリスクポピュレーションの同定による予防戦略を構築することを狙う。
本研究の対象者は研究代表者が参画している高血圧・脂質異常症・糖尿病の治療歴及び心血管疾患の既往がない都市部住民集団の男女1,134名を対象とした前向きコホート研究『日常的な健康度を指標とした都市コホート研究:神戸トライアル』(神戸研究)および山形県鶴岡市にて健康診断受診者11,002人を対象に質量分析法を応用した様々な手法で低分子の代謝産物を網羅的に解析するメタボローム解析技術を取り入れた前向きコホート研究『鶴岡メタボロームコホート研究』(鶴岡研究)であり、これら2つの地域コホート研究を基盤として、自己抗体と認知症・フレイル・生活習慣病及び循環器疾患の新規発症との関連を検証し、一般集団における自己抗体発現の臨床的・生物学的意義の考察を進め、自己抗体の陽性と認知症・フレイル・生活習慣病及び循環器疾患の関係を評価し、ハイリスクポピュレーションの同定による予防戦略を構築することを目的としている。しかしながら、新型コロナウイルスの影響によって、両コホート研究共に現地調査についての体制の立て直しを図る必要があり、今年度は主に神戸研究において問診(喫煙状況、飲酒状況、K-6、日常生活における痛みの状況、睡眠など)・身長・体重・腹囲・内臓脂肪測定・In Body(体組成チェック)・味覚・聴覚・血圧・頸動脈エコー・採尿(尿定性:尿糖、尿蛋白、尿潜血など)、採血(血糖・脂質・尿酸など生活習慣病関連項目、血算、腎機能、肝機能など)で構成されるフォローアップ調査に従事しつつ、既存データを用いた関連研究として、都市部住民における塩味味覚閾値の規定要因に関する検討や都市住民における睡眠時間と脂質との関連(ともに神戸研究)などに携わった。
3: やや遅れている
研究実績の概要で述べたように、新型コロナウイルスの影響によって両コホート研究共に現地調査についての体制の立て直しを図る必要があり、今年度は主に神戸研究において問診(喫煙状況、飲酒状況、K-6、日常生活における痛みの状況、睡眠など)・身長・体重・腹囲・内臓脂肪測定・In Body(体組成チェック)・味覚・聴覚・血圧・頸動脈エコー・採尿(尿定性:尿糖、尿蛋白、尿潜血など)、採血(血糖・脂質・尿酸など生活習慣病関連項目、血算、腎機能、肝機能など)で構成されるフォローアップ調査に従事した。なお、今年度の神戸研究の調査は2023年6月17日・7月29日・8月26・9月23日・10月21日・11月25日・12月16日・2024年1月20日の計8回行われ、308名の研究対象者の調査を完遂した。このように本研究は特にフォローアップ調査に予期せぬ新型コロナウイルス流行の影響を大きく受けたこともあり、今年度の研究進捗状況は「(3)やや遅れている」とした。
2024年度は最終年度であるため、ベースラインでの自己抗体測定が完了しており、フォローアップデータのクリーニングおよび固定が2024年度の早い時期に完遂する見込みの神戸研究のデータを用いて、当初の目的の中で新型コロナウイルス感染症によるコホート調査中断の影響を比較的受けずに実行可能な「高齢者における自己抗体価と認知症・フレイルとの関連」「ベースライン調査時自己抗体価と追跡調査での生活習慣病新規発症との関連」を中心にして解析を進める予定としている。なお、神戸研究の追跡は今年度にて終了する予定である。併せて、鶴岡研究では循環器疾患新規発症の把握などのフォローアップ調査を行い、ベースラインで測定した自己抗体関連と関与するメタボロームと循環器疾患との関連を評価する予定としている。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件)
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