研究課題/領域番号 |
20K10542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
安藤 富士子 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 教授 (90333393)
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研究分担者 |
大塚 礼 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 部長 (00532243)
西田 裕紀子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 副部長 (60393170)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 高齢者 / 処方薬 / 長期連用 / 服薬数 / 大脳容積 / 海馬容積 / 降圧薬 / 大脳局所容積 / 認知機能 / 中高年者 |
研究開始時の研究の概要 |
処方薬の多剤併用や長期連用は近年急増しているが、その弊害に着目した研究は少ない。 本研究では地域住民から無作為抽出された中高年者約2,200人を対象として、1)過去10年間の薬効別処方薬(約200種)の使用状況とその基礎疾患を明らかにし、2)薬効別処方薬の単剤・多剤の長期連用がその後10年間の大脳容積、特に認知機能に関連する領域の容積の変化や認知機能の変化に及ぼす影響を明らかにする。 長期連用や多剤併用によって認知機能に悪影響を及ぼす薬剤が明らかになれば、薬剤の無用な長期連用への警鐘となりうると期待される。
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研究実績の概要 |
高齢者への処方薬の多剤併用や長期連用は近年急増しており、その弊害への言及も多いが、大脳容積や認知機能関連部位の萎縮との関連について検討した研究は少ない。本研究は地域在住中高年者からの性・年代層化無作為抽出者約2,200人の縦断疫学調査のデータを用い、薬効別処方薬の単剤・多剤の長期連用が大脳容積、特に認知機能関連領域の容積の変化に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 昨年度までの研究成果として1)横断的に解析した結果、降圧薬の服用者では脳灰白質・側坐核容積が非服用者と比較すると小さく、その傾向はACE阻害薬服用者で顕著であった。2)縦断的に解析した結果、10年間継続的にACE阻害薬を服用した中高年者の大脳非白質の低吸収領域容積は非服用群と比して有意に低値であった。3)ベースラインでの処方薬服薬数がその後10年間の海馬容積の変化に及ぼす影響を検討した結果、高齢であるほど、年数が経過するほど、服薬数が多いほど、海馬の萎縮は進行していた。 今年度はさらに解析対象者を増やして4)ベースラインでの処方薬服薬数がその後10年間の大脳全灰白質・前頭葉・頭頂葉・側頭葉・海馬・扁桃体・帯状回容積の変化に及ぼす影響を検討した。海馬領域の10年間の容積変化に対して、服薬数と性、服薬数と経過年数と年齢との交互作用が有意となり、海馬への服薬数の影響は男性で、また年齢が高く経過年数が長いほど、萎縮が増強することが明らかになった。一方でこのような影響は全灰白質容積、前頭葉容積等でも認められ、服薬数の大脳容積変化に及ぼす負の影響は必ずしも海馬に限局したものではない可能性も考えられた。 本研究を通して服薬数が多いほど、長期的な海馬の萎縮を来すことが明らかになったことには老年医療において意義があると考えられる。
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