研究課題/領域番号 |
20K10556
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
奈女良 昭 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (30284186)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 薬物分析 / クロマトグラフィー / 質量分析 / 分析化学 / 薬物 / 法中毒 / 酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
生体試料中の薬物を分析する際、試料中の薬物が一旦有機溶剤などに移行した後は化学変化を受けないとされているが、種々の抽出法を検討している過程で抽出溶媒留去時に薬物が変化する現象を捉えた。そこで本研究では、生体試料中の薬物を分析する際の“どの工程で、どのような機構で化学変化を起こすのか?“などの物理化学的な因子の詳細を明らかにするとともに改善策を検討し、正確な薬物濃度を提供しうる方法の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
本成果では、酢酸エチルなどの酸化物が混入している有機溶剤の使用で、N-oxideの生成することが判明した。モデル化合物として用いたオランザピンに限定されず、分子内に三級アミンを有するクロルフェニラミン、ゾテピンなどもN-oxideに変化することも確認され、適切な前処理法(抽出方法や抽出溶媒など)の選択が分析(定性・定量)結果に大きな影響、延いては誤った分析結果に結びつく恐れのあることが判明した。溶媒中の酸化剤(oxidants)の除去を試みるも完全なる除去は不可能であったことから、酸化防止剤の添加や酸化物を含まない溶剤を使用することで、これら前処理中の化学変化は回避することが可能となった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本成果は、有機溶剤などに移行した後は化学変化を受けないと言う固定観念を覆し、抽出溶媒留去時に薬物が分解(酸化および還元)する大きなピットフォールのあることを突き止めた。適切な前処理法(抽出方法や抽出溶媒など)を選択しなければ、分析(定性・定量)結果に大きな影響を及ぼし、延いては誤った分析結果に結びつく恐れがある。特にN-oxideは体内での”代謝物”として認知されている薬物もあり、これまでの定量結果の解釈に大きな影響を及ぼすことも想定されることから、正確に再現性のある分析法が求められる。今後は、薬物中毒の判断材料となりうる正確な定量値を提供する方法の構築に大きく貢献することが期待される。
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