研究課題/領域番号 |
20K10565
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
垣本 由布 東海大学, 医学部, 准教授 (40734166)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 突然死 / 心肥大 / プロテオーム解析 / 異方性 / MYH7 / 質量分析 / タンパク質 / 高血圧性心不全 / 虚血性心不全 / プロテオミクス / 心臓組織 / 心臓性突然死 / ウエスタンブロッティング / 死後変化 / 微小管 / Tubulin / カルシウム / イオンチャネル / リン酸化 / 心筋リモデリング |
研究開始時の研究の概要 |
心肥大があると心臓性突然死を起こしやすい。しかし、高血圧症や動脈硬化症で生じる致死性心肥大と、スポーツ習慣などで生じる生理的心肥大を肉眼的に区別することは難しい。 これまでの心肥大に関する研究は慢性心不全をテーマにしたものが多く、心筋の細胞膜でリモデリング(再構築)が進み、心不全となることが報告されている。一方、生前に慢性的な心不全症状を呈することなく突然死する致死性心肥大については十分に検討されていない。 本研究では、実際に突然死した致死性心肥大の症例から組織検体を採取し、ヒトの心臓性突然死に直結した心筋リモデリング機構を明らかにする。
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研究成果の概要 |
高血圧性心不全および虚血性心不全による突然死を対象に、ヒト心臓組織のプロテオーム解析を行った。突然死群では、MYH7、MYL3、ACTC1といった細胞骨格タンパク質が増加していた。また、心肥大群では、ACTC1は突然死群と同程度増加していたものの、MYH7とMYL3のmRNA増加は中程度にとどまっており、生理的心肥大から致死性心肥大に至る過程で、細胞骨格タンパク質が段階的に増加することが明らかになった。さらに、免疫染色ではMYH7が突然死例の内縦走筋で増加していた。ヒト心臓壁は内・中・外の3層構造から成り、筋層ごとのタンパク質発現プロファイルの変化が突然死のリスクとなる可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中高年では肥満や高血圧症に対して代償性に心肥大が生じることが多い。従来、心肥大が突然死のリスクとなることは知られていたが、心不全症状のない心肥大例において、突然死のリスクを正確に予測することは難しかった。 心肥大剖検例を対象とした本研究では、生理的心肥大群に比べて突然死群でMYH7とMYL3が増加していることが明らかとなり、心臓生検や血液検査においてこれらのタンパク質が突然死リスクマーカーとなる可能性が示された。将来的には、心肥大患者のなかでも突然死リスクの高い患者を識別することで、突然死の発症を予防することが期待できる。
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