研究課題/領域番号 |
20K10629
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
青木 慶子 (菊地 慶子) 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (20456552)
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研究分担者 |
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
井上 真智子 浜松医科大学, 医学部, 特任教授 (80609090)
斉本 美津子 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60347383)
金子 惇 横浜市立大学, データサイエンス研究科, 講師 (80825076)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 診療所看護職 / 卒後教育 / 混合研究法 / 研修会 / 地域包括ケア |
研究開始時の研究の概要 |
地域包括ケアへの重要な役割を期待される診療所看護職の実践能力向上を図るためには、看護職自身の自己啓発・自己研鑽に委ねざるを得ないる現状である。 本研究は、混合研究法を用いており、診療所看護職の卒後教育セルフマネジメントの要素およびプロセスについてはフォーカス・グループ・インタビュー(FGI)で解明し、卒後教育の現状をアンケート調査で把握する。 最終的には、診療所看護職の教育介入のニーズ・デマンドをFGIとアンケートの結果を統合して分析・解明し、診療所のような小規模組織に属する看護職に向けた地域包括ケアの推進を促すための看護実践能力の向上を図る卒後教育の要素やプロセスを明らかにする。
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研究実績の概要 |
当初、フォーカス・グループ・インタビュー結果から地域包括ケアの実践に関連する学びを促進・抑制する因子を抽出して調査票の項目に入れる予定であった。しかし、今年度が本研究の最終年度で、2年程遅れていることから研究計画を見直し、①研究デザインをインタビュー調査とアンケート調査を同時期に実施して、質的・量的データを統合分析する収斂デザインに、②アンケートの調査手法を郵送紙面調査からWEB調査に変更して倫理審査会の承認を得た。 フォーカス・グループ・インタビューは、オンライン上で11月に実施して2グループ:計13名の診療所看護職から地域包括ケアを実施する契機や実施するまでの教育プロセスを把握することができた。彼女らは、国が提唱する前から地域包括ケアの概念を把握しており、OJTや協同学習、研修で得た知識やスキルを活かして患者中心の医療やピアサポート、地域での看護活動などの地域包括ケアを展開していることが明らかになった。 WEBアンケート調査は、調査依頼書類を500以上の診療所に郵送したが、診療所看護職からの回答数が118と目標数に届いていないため1年延長して次年度に対象を拡大して調査する予定である。 昨年度から診療所看護職対象の研修会にオンラインの開催形式を取り入れ、今年度は、オンライン研修未経験の方にZOOMの使い方アドバイスを個別に行い、3名に指導をした。しかし、参加数は昨年度同様、20弱とコロナ禍前に比べて減少している。要因として、①COVIC-19対応のようにOJTで最新の医学知識を習得していると認識、②長期にわたる業務繁忙で休息確保を重視、③ICTツール活用の抵抗、④研修への無関心が推測された。加えて、今年度の研修会参加者から今後も診療所看護職との交流を持ちたいとの要望を受け、半年後の3月下旬にオンライン交流会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVIC-19感染症のパンデミックが生じたことで研究対象者である診療所看護職が業務繁忙となり、当初の研究計画から2年弱遅れたが、緊急事態宣言解除後の10月頃から中断していた研究計画を再開した。遅れている研究計画を見直し、研究目的に沿いながら研究期間が1年半から半年程度に短縮できる工程に変更し、今年度中にフォーカス・グループ・インタビューとWEBアンケート調査を実施することができた。フォーカス・グループ・インタビューの結果を暫定的にまとめて地域医療関連の学会に演題登録し、次年度国内外で発表予定である。WEBアンケート調査は想定よりも回答数が少なく、今年度中で目標数を達せないと判断して、研究期間を1年延長することの承認を得て次年度対象を拡げて調査できるように準備を進めている。 昨年度好評だったオンライン開催した診療所看護職対象の研修会を、今年度はハイブリッド形式で開催した。しかし、昨年同様、コロナ禍前までの参加申込数よりも半減しており、診療所看護職の学習意欲が低下していると考えられたため、学習意欲低下の要因と推測する診療所看護職の業務過多やメンタルヘルスを調査する研究申請して、次年度より展開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
フォーカス・グループ・インタビューの結果については、診療所看護職が地域包括ケアを実践するまでの学習過程や継続教育に必要となった要素を抽出し、看護卒後教育に関連する先行研究の内容と照合しながら内容分析を進めていく。現時点の暫定的な解析結果を地域医療に関する国内外の学会で発表予定である。 WEBアンケート調査は、目標数350に届くように対象地域を拡大していく予定である。目標数の達成後、WEB調査の質的・量的データを統合分析して診療所看護職の自己学習や学習準備、院内外教育の実態および地域包括ケアに関する看護実践能力について分析する予定である。更に、上記のフォーカス・グループ・インタビューの分析とWEB調査の分析の相違点を抽出して診療所看護職に対する地域包括ケアの実践に求められる教育介入の促進・抑制因子を明らかにしながら考察を深め、国内外の学会や学術雑誌に発表する予定である。 今年度、オンライン研修の受講方法がわからない診療所看護職に対してオンラインの使い方無料アドバイスの個別支援を案内したが、研修会の参加申込数は前回よりも減り、アドバイス申込数は僅か数件であったことから、ICTツールの活用スキル習得に無関心か既に習得していると思われ、今年度で終了とする。 今年度の研修内容は、前回の研修会で診療所看護職が最も関心のあったCOVID-19に関するテーマでハイブリッド開催したが、浜松市外からの参加申込は無く、全国的に診療所看護職の学習意欲が低下していると推察される。このことから、次年度の研修会は開催当初に立ち戻り、浜松市内の診療所看護職に重点を置いた研修会を企画し、診療所看護職自身が興味関心のある内容を主体的に起案して運営・活動できるよう支援することを検討している。 更に、学習意欲低下の一因である診療所看護職の過剰業務やメンタルヘルスの現状についても別の科研費研究で進めていく予定である。
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