研究課題/領域番号 |
20K10663
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
太田 克矢 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60295798)
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研究分担者 |
竹内 幸江 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (00311902)
青木 駿介 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (30827332)
那須 裕 長野県看護大学, 看護学部, 名誉教授 (50020839)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 理科的基礎知識 / 看護学科 / 新入生 / 尿試験紙 / 疑似尿 / 看護教育学 / 教授方法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「看護学科で学習を開始するのに必要な理科的基礎知識の教授方法を検討・開発する。特に、我々が行った先行研究を基礎に、高校までの過程で習得率が低い項目(以下、課題項目)に対しての教授内容・方法を開発」しようと考えている。 先行研究では、全国の看護系大学の中で中程度の学力と考えられる学生を対象に、入学時点の理科的基礎知識の習得状態をいくつかの項目で調査した。この結果、課題項目がいくつか抽出された。この結果を基に、特定の項目用の教授方法を開発しこれも試行した。 本研究で継続的な調査を進めて調査精度を高め、課題項目に関連する教授方法を個別の項目ごとに開発し、これらの効果について検討する。
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研究実績の概要 |
先行研究で抽出された「看護学生が入学時点で習得状況が低い項目」を元に、看護学生に有用な教材の開発を進めた。これまでに、入手が容易な材料で実験に精通していない教員や学生でも作成できる尿試験紙用の「疑似尿の作成方法」を提案・報告した。この疑似尿では、尿試験紙法で一般的な「タンパク質・ブドウ糖・pHの3項目(以下,基本3項目)」に明瞭な反応を示した。教材としての安定性や再現性も十分であった。看護学生は、分子レベルの学習項目の習得度が低い傾向がある。この原因の1つとして「目には見えないもの」が実際の生活にどのように繋がるかが具体的に想像しにくく、分子レベルの学修項目に高校で興味がわかなかったという可能性が考えられた。一般的に看護を学び始めた学生は生体の現象には関心を持ちやすく、これに生体分子などを関連させることができれば、分子レベルの学修にも興味を示すと思われた。したがって、開発した疑似尿の教材は有用となる可能性が考えられた。 この疑似尿の汎用性を高める為、2022年度に、試験紙の基本3項目以外にケトン体・比重の各項目に反応する疑似尿の作成方法とその性状などを分析・検証した。この結果、「アセトン系統の日用品」と「食塩」で良好な疑似尿が作成できることがわかった。2023年度は、ケトン体・比重の各項目の継続的な検討に加えて、潜血の項目を検討した。この結果、少なくとも1つの単純な日用品が材料となり得ることがわかった。また、本研究で提案する疑似尿が看護の授業で利用しうることも分かった。成果の発表と方法論を発信するため、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の遂行の要素として「学生を実際に集めて確認・検証する」などの機会が必要である。2022年度以前に比較すれば、この機会はやや増加できたものの、医療系の大学・学科であるため、感染予防の観点などから依然として、コロナ禍前に想定していた十分な機会の回数を得ることはできなかった。研究成果の発表や発信はできたものの、演習教材としての実施の利用面の検証が不十分である。これらが遅延していることも要因となり他の教授方法の開発も進展が遅くなっている。
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今後の研究の推進方策 |
食品や日用品による疑似尿の作成方法の改良を継続的に検討する。具体的には尿試験紙で検査できる項目数の増加や保存方法と保存性などについて検討を重ねる。特に潜血の項目に関する知見(材料の選択・試験紙への反応性・保存性など)を得るための検討を進めていく。作成した疑似尿の教材としての利用方法も可能な範囲で検証していく。この他、「課題項目に対する新しい教授方法の開発」の模索や検討も進める。看護学科に入学した新入生の理科的基礎知識の状況の把握に関しては、先行研究で調査した内容を更に再度の整理を行い、正解率が低値であるものについて考えられる理由を学生への問いかけなどでも把握する。できれば2次アンケートを作成・実施するなどして理由の確証性を高めていく。また、場合によりITCを利用した新たな教授方法の検討も行う。
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