研究課題/領域番号 |
20K10766
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
|
研究機関 | 札幌医科大学 (2022) 北海道科学大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
秋原 志穂 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (30337042)
|
研究分担者 |
米澤 洋美 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (10415474)
山田 修平 北海道科学大学, 保健医療学部, 助教 (50806982)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 結核 / 患者QOL / 隔離 / ストレス / 隔離患者 / QOL / 心理 |
研究開始時の研究の概要 |
結核患者は感染を拡大させないように隔離病棟に長期間入院して治療しなければならない。隔離状況下にある結核患者のストレスは非常に高い。日本の結核患者の隔離基準は国際的に見て厳重であり、海外での結核患者に比べて日本の結核入院患者のQOLは低いことが推察される。患者の人権を尊重した治療や看護を行う必要があることから、本研究は、患者ストレスおよびQOLを明らかにし、それらの関連を探究する。また、患者QOLの向上を目指した、包括的ストレス緩和プログラムを開発することを目的とする。そのため患者の療養環境、ストレスの状態、QOLを科学的に明らかにしたうえで、患者のストレス緩和方法を検討する。
|
研究実績の概要 |
2022年度の予定は、結核病棟にて長期入院している患者対象に質的調査を行い、ストレスの内容や要因を明らにすることであったが、2022年度も新型コロナウイルス感染流行の影響により実施不可能であったため、結核患者のストレスについての文献検討を行った。 2020年以降の海外文献でTuberculosis、Patient、Stress、Psychological をキーワードにPubMedにて検索を行った。文献は61件あり、そのうち内容が合致する文献は19文献であった。研究対象の地域はアフリカ、東南アジアがほとんどあり、欧州での研究が1件であった。研究方法は、質問紙による調査でストレス尺度(PHQ-9)、不安尺度(GAD7)、抑うつ尺度(CES-D)、QOL尺度(WHOQOL)などにより結核患者の心理状態を測定しているものが多く、質的研究が3件、mixed methodが1件、RCTが1件であった。結核患者の心理状況については、治療開始時、あるいは治療中には「不安状態」「うつ状態」「高いストレス」が認められている。治療の経過のなかでこれらの不安状態などは軽快していくことを明らかにした研究もあるが、一般人と比べた場合には高い不安や抑うつが見られた。2020年以降は世界的にCOVID-19流行が見られたことから、COVID-19パンデミック中の不安状態について焦点を当てた研究も2件あり、COVID-19前との比較ではないが、他の研究と比べて不安と抑うつの得点が高く、COVID-19流行の影響も考えられた。質的研究からは、診断を受けた段階から15%が「自殺念慮」や「自傷行為」の考えがあったことが述べられ、結核患者の精神的苦痛が大きいことが明らかであった。また、精神的苦痛に影響する因子には個人要因、スティグマ、社会的要因、健康状態などがあったが、貧困と密接に関連していると結論づけられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年に引き続き2022年も新型コロナウイルスの流行により、結核病床は大きな影響を受けている。病院は面会禁止など部外者の入構を制限しているため研究の協力ができる状況ではなかった。家族の面会も制限されているなか、対象者との面会は不可能であった。研究データの収集だけでなく、研究依頼や打ち合わせもはばかられる状況で、これまでの研究の成果発表や文献研究の留まっている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は新型コロナウイルスの感染症法の分類が5類へと変わり、感染対策が緩やかになる可能性がある。病院の感染対策もいくらか緩むと考えられるので、研究を進めていく。患者対象の研究が困難な場合は、医療者対象にインタビューと質問紙調査を行い、患者のかかえているストレスの状況を明らかにする。研究計画では生体試料(唾液)によるストレス測定があったが、実験試料の採取が困難な場合は断念し、上記で述べたように対象を変更する。もしくは、患者への調査が可能な場合は、尺度を用いたストレスの実態の調査およびストレス緩和プログラムの検討を行う。
|