研究課題/領域番号 |
20K10796
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
瀬戸 奈津子 関西医科大学, 看護学部, 教授 (60512069)
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研究分担者 |
正木 治恵 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (90190339)
清水 安子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50252705)
高橋 延行 関西医科大学, 医学部, 教授 (10298870)
大原 千園 関西医科大学, 看護学部, 講師 (90376202)
村内 千代 関西医科大学, 看護学部, 講師 (00824278)
藤本 悠 関西医科大学, 看護学部, 助教 (70803310)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 外来看護 / 高齢慢性疾患患者 / 包括的アセスメント / ツール開発 |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会がもたらす課題に慢性疾患等の有病率の増大や在院日数の短縮化による在宅患者の重症化、医療者の不足等があり、在宅と病院をつなぐ外来看護の機能は極めて大きい。高齢慢性疾患患者は複数の疾患を併せ持ち、老年症候群もあることから症状で判断しにくく、繁忙な外来で包括的に見極めることが困難である。 本研究では、このような課題のある外来看護において、高齢慢性疾患患者を包括的にアセスメント(見極め)ができるツールの開発を目的とする。このツールによって、地域包括ケアシステムにおける在宅と病院をつなぐ外来看護の機能を強化し、高齢慢性疾患患者の要支援・要介護予防が可能となり、全国への普及を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、高齢慢性疾患患者を対象に在宅と病院をつなぐ外来看護の機能を強化するために、外来看護包括的アセスメントツールの開発を目的としている。2022年度は、一般社団法人日本循環器学会「循環器病ガイドラインシリーズ」全50件のガイドライン(閲覧期間2022年3月から2022年6月)により、循環器疾患をもつ高齢慢性疾患患者への予防と早期発見を念頭に置いたアセスメント項目として、循環器疾患に特有の治療や処置に伴うリスクへの視点及び心不全、不整脈、脳血管・末梢血管を含む全身血管障害に伴う症状や兆候を抽出した。 続いて、外来通院中の高齢慢性疾患患者を対象に、フレイル状態にある患者の割合と外来看護で活用可能な関連因子、フレイル状態に移行したプロセスを明らかにした。高齢慢性疾患患者へのアンケート調査により、フレイルと基本属性の関連では、女性、年齢層が高い、薬の種類数が6種類以上、受診行動で送迎がいる、支援者に体調変化を指摘をされた経験があることが、フレイル群と関連があった。またフレイル状態にある高齢慢性疾患患者へのインタビュー調査により、事例ごとの「フレイルの変化」は、予備能力が低下する下降の軌跡と、治療や参加者なりの対処・対策や意識変化に影響を受け予備能力が高まるような上昇の軌跡が示された。 同時に、地域密着型の急性期病院の一般診療外来に所属する熟練した外来看護師へのインタビュー調査により、外来看護師は外来特有の環境に対し独自の工夫を見出し、支援を要する患者の抽出に努めていた。一方で、外来看護師が処置室に中央化された施設と各診察部門に配置される施設では患者抽出の病期に違いがあることが示唆され、自施設の外来機能や外来患者の特徴を踏まえ、適切な病期で支援ニーズの抽出を可能にする看護師の部署配置・看護提供体制には検討の余地があることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度より、高齢慢性疾患患者への外来看護包括的アセスメント技術の体系化に着手し、高齢者の複合疾患として要支援・要介護が必要になった原因として上位に位置する主な慢性疾患について国内外の関連文献を収集し、システマティックレビューを始め、信頼性のあるガイドラインと合わせて外来に通院する高齢慢性疾患患者への看護の抽出作業を進めている。 しかしながら2020年度よりCOVID-19対応によるオンライン授業の準備、事務局を務める学術集会の延期やオンライン開催への変更対応等に多くの時間を費やしたため、予定より作業がやや遅れてしまった。その遅れの影響と2021年、2022年とCOVID-19対応が継続されたため、その影響を受けて2022年度もやや遅れている状況が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
高齢慢性疾患患者への外来看護包括的アセスメント技術の体系化に向けて、高齢者の複合疾患として要支援・要介護が必要になった原因として上位に位置するものを選択した。その具体的な疾患名は、認知症、脳血管疾患を含む循環器疾患(高血圧症、不整脈、慢性心不全等)、高齢による衰弱や骨折・転倒等(通称、フレイル)、糖尿病である(厚生労働省,2016)。 2022年度までに循環器疾患(高血圧症、不整脈、慢性心不全等)およびフレイルに関する外来に通院する高齢慢性疾患患者へのアセスメント項目の抽出作業をほぼ完了した。2023年度は、これらの成果を関連学術集会発表し、論文公表予定である。また、残りの糖尿病と認知症に関する外来に通院する高齢慢性疾患患者へのアセスメント項目の抽出を完了させ、高齢慢性疾患患者に対する包括的アセスメントツールを作成し、検証過程へと進める予定である。 外来看護の役割としては、地域密着型の急性期病院の一般診療外来に所属する熟練した外来看護師は外来特有の環境に対し独自の工夫を見出し、支援を要する患者の抽出に努めていることが明らかになった。一方で、外来看護師が処置室に中央化された施設と各診察部門に配置される施設では患者抽出の病期に違いがあることが示唆され、自施設の外来機能や外来患者の特徴を踏まえ、適切な病期で支援ニーズの抽出を可能にする看護師の部署配置・看護提供体制には検討の余地があることが考えられた。2023年度は、これらの熟練した外来看護師が患者・家族に声をかける判断とその意図をも明らかにしながら、順次関連学術集会発表、論文公表に着手する予定である。
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