研究課題/領域番号 |
20K10919
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
布施 晴美 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 教授 (00227505)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 多胎家庭支援 / 多胎家庭 / 多胎妊産婦 / 多胎児 / ピアサポーター / 育児困難 / 自治体との連携と協働 / 育児支援 |
研究開始時の研究の概要 |
少子化が進行する日本であるが多胎児の出生割合に変化はなく、100人に1組の割合で多胎児が誕生している。多胎家庭は育児困難に陥りやすく、虐待のリスクが高いため、妊娠期からの支援が望まれている。支援には多胎育児ピアサポーターの介入が効果的であると指摘されている。一方でピアサポーターが育たない現状もある。 本研究では、自治体の多胎家庭支援の現状及びピアサポーターとの連携・協働の実態を明らかにし、ピアサポーターが社会資源となり自治体と連携・協働する仕組みを検討する。また、多胎育児経験者が育児困難を克服し、ピアサポーターとして支援者側に成長するための自治体の役割についても、本研究の中で検討し提案する。
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研究実績の概要 |
令和2年度は、自治体の多胎家庭支援の現状及び多胎育児ピアサポーターとの連携・協働に関する実態を知るための調査を実施する予定であったが、令和2年に厚生労働省の「子ども・子育て支援推進調査研究事業」の中で市区町村の自治体を対象とした「多胎児の家庭等に対する子育て支援に関する調査研究」が行われることがわかった(三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託)。その調査は、本研究と重複する調査対象と内容であるため、厚生労働省の調査研究結果の公表(2021年4月26日 https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210426_13.pdf)を待ち、調査対象および調査内容について再検討をすることとした。 そこで令和2年度は、ピアサポートによる支援に関連して、自治体母子保健担当保健師やピアサポート活動を展開している支援団体に連携・協働における課題や困難について非公式な聞き取りを実施し、その知見も含めて調査項目を精査・準備することとした。 自治体も支援団体もピアサポーターの重要性や果たす役割の効果に対しては、肯定的にとらえているが、連携・協働を推進するためには課題があった。自治体側は、ピアサポーターの人材発掘や養成、ピアサポーターとして介入できる範囲に課題を感じていた。 多胎育児経験者は、自分のこれまでの経験をピアサポーターとして活かしたい意思を持ち、当事者サークル等に所属しサークル内で相互支援の活動を行っているが、その支援はサークル内にとどまらず、広くピアサポーターとしての活動を望んでいた。その際にどのように自治体とつながりをつくるか模索している状況がわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究に着手する令和2年度は、多胎家庭支援に関する国の新事業が始まり、同時に厚生労働省の子ども子育て支援推進調査研究事業で「多胎児家庭等に対する子育て支援に関する調査研究」を実施することを知った。国が行う調査が本調査で予定していた調査対象(1,741市区町村の母子保健担当部局)及び調査内容(多胎児家庭等に対する子育て支援の実態調査)と重複することが予想された。そのため、今年度実施予定であった「自治体の多胎家庭支援の現状及び多胎育児ピアサポーターとの連携・協働に関する実態を知るための質問紙調査」は今年度の質問紙調査を見送ったことで、計画が「やや遅れている」となった。 現在厚労省の調査結果が公表(2021年4月26日 https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210426_13.pdf)されており、調査対象自治体を絞り込み、調査内容を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、昨年度予定していた、自治体の多胎家庭支援の現状及び多胎育児ピアサポーターとの連携・協働に関する実態や課題を明らかにするための質問紙調査を実施する。質問紙対象地域は、東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府、福岡県の市区町村を対象とする予定であったが、令和2年度の「多胎児家庭等に対する子育て支援に関する調査研究」の結果(1,741市区町村対象に1,183件67.9%回収)から、多胎出生届の多い人口3万人以上の市区(東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府、福岡県)を対象とする。また、内容については、多胎サークル等への協力や支援していない自治体が62.7%と示されていたが、多胎出生数やサークルの有無も影響していると思われる。自治体がピアサポーターを活用したい、育てたい、連携したいという思いについては、この結果からは読み取れず、課題解決策を示すことができない。その点も明らかとなるような調査を実施する。本調査は多胎家庭支援を実施していないことを責めるものではなく、どのようにしたらよいか提案できる方向に持っていける調査としたい。 質問紙調査と並行して、自治体と連携をしながら各地で多胎育児ピアサポーターとして活動している母親10人程度を対象とした半構造化面接調査を実施する。内容は多胎サークル立ち上げの経緯、現在の活動、自治体との連携のきっかけと継続・発展してきた経緯、自治体と連携協働する際の課題・限界、等についてインタビューをする。 厚生労働省が示した補助事業の「多胎ピアサポーター事業」については、ピアサポーターの重要性に着目したものである。さらにピアサポーターの相談支援には、家庭訪問等アウトリーチの実施も予想し期待している。実際の運用につながるか否かは各自治体の裁量によるといえる。自治体が推進するための方法や課題を探っていく。
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