研究課題/領域番号 |
20K10941
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
佐保 美奈子 (井端美奈子) 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (80331742)
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研究分担者 |
小西 幸男 甲南大学, 全学共通教育センター, 准教授 (20411564)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 男性へのセクシュアリティ教育 / 男子を育てる母親の困難感 / 包括的セクシュアリティ教育 / ポリヴェーガル理論 / 男性セクシュアリティ / 男子の母親の育児困難感 / セクシュアリティ教育 / 男子のための性教育 / ウェブ調査 |
研究開始時の研究の概要 |
研究目的は、思春期・青年期男子が性成熟現象に適切に対応し、性行動開始による問題を予防し、心の成熟・社会的生活適応をスムースにすることである。 男子が健康で幸せになることによって、女子にも良い影響があると期待できる。ウェブ調査とフォーカスグループインタビュー調査によって実態を知り、男子のセクシュアリティ教育の課題克服のための内容・方法(「男子用おつきあいのマナーかるた」の開発を含む)を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、思春期・青年期男子が性成熟現象に適切に対応し、性行動開始による問題を予防し、心の成熟・社会的生活適応をスムースにすることである。 研究課題の核心をなす学術的「問い」は、思春期・青年期男子の【①第2次性徴・性行動に関する課題 ②心の成熟・社会的適応に関する課題をどのように克服 するか】である。妊娠・出産・性感染症予防に偏った内容ではなく、むしろ男子の性の理解に重点を置くところが新しい試みである。 研究3年目は、以下の5点に 取り組んだ。 1.大阪府立大学において子育て支援研究会を5回開催した。1月におつきあいのマナーかるたを用いたワークショップを堺区のイベント会場で開催した。2.中高教員研修実施 オンデマンド講義を12月と1月に大阪府内の中高教諭を対象に実施した。12月に大阪市内中学校養護教諭を対象に対面講義を実施した。3.日本財団助成事業「包括的性教育実践助産師の育成」プロジェクト メンバーとして性教育を実践する助産師育成プログラムの内容検討に取り組んだ。 4.中学・高等学校への出前講義の実施:大阪市立港中学校、大阪府立登美丘高校1年生、大阪府立懐風館高校1年生、大阪府立みどり清朋高校1年生、大阪緑涼高校1年生、大阪商業大学高校1年生・2年生、近大泉州高校1 年生・3年生、貝塚市立第4中学校3年生に対面講義を実施した。5.情報発信のためのホームページの検討をおこない、コンテンツの作成をおこなった。6月に(一社)性と健康を考える女性専門家の会主催のシンポジウムで「セルフケア・セルフプレジャーから女性主導のセックスへ」について講演したので、ホームページに動画をアップした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で、大学の本務である教育方法が感染拡大状況によって、対面講義から急遽オンラインやオンデマンド講義に変更になり、その対応に追われた。また、 学会や出前講義や講演が延期~中止になったり、ワークショップの中止など大幅な計画変更をしたが、幼児から思春期までの男児を育てる母親の困難感に フォーカスした子育て支援研究会を継続することができた。 泌尿器科専門医、精神保健福祉士、作業療法士、助産師など子どもに関わる専門家が集まり、母親達は安心して気軽に困難な状況を共有することができた。行政との関わりでは、大阪府・大阪市の教員研修を対面やオンデマンド講義を実施することができた。若者の将来の夢を育むようなセクシュアリティ教育をおこなうことで、アダルトサイトからの誤った情報に適切に対処できる知識を提供したい。男子の性についての正しい情報を検討しながら、大学公開講座「子育て支援研究会(年5回シリーズ)、中学・高校出 前講義(年10校)などで発信した。これまでに開発したおつきあいのマナーかるたをデジタル化する試みを情報科学分野の教授と検討した。 このような実践の中から、ホームページの企画・ビデオ教材の作成・小冊子の作成などのアイデアがおのずと沸き起こってきたので、最終年度で成果として 提出できるようにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は前述の研究実績1~5について継続して取り組む。思春期はヒトが人間として成熟する人生の最も重要な時期といってよく、適切で 効果的なセクシュアリティ教育が強く求められている。特に、思春期・青年期男子の心とからだの急な成長を後押しするような教育が現在は不足しているため、 男子の自尊感情を育てるセクシュアリティ教育が求められている。 ユネスコ編(2020)「改訂版国際セクシュアリティ教育ガイダンス、科学的根拠に基づいたアプローチ」で、「これまで、男性性に関する議論はセクシュアリ ティ教育プログラムではあまりされてこなかった。なぜなら一般的にそれらが問題になりうるとは思われていないからである。しなしながら、男子もセクシュア リティに関して自分たちのニーズや疑問は解消されていないと感じている(UNESCO,2014)。」とあるように、男子向けのセクシュアリティ教育内容をプログラ ムに盛り込むことが重要である。出前講義時に男女の解剖生理学的な違いから説明し、男性・女性特有の疾患の予防などを盛り込み、性と健康の関わりを説明することで、男女ともに過度に羞恥心を刺激されずに学習できたという感想を得た。男子のセクシュアリティ教育に必要な情報を発信するためにホームペー ジ作成に引き続き取り組む。男女の解剖生理学的な特徴を踏まえ、特に男子のセクシュアリティをデリケートに扱いながら、男女ともに他者へのリスペクトを育むセク シュアリティ教育を探求しつづける。
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