研究課題/領域番号 |
20K11034
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 豊橋創造大学 |
研究代表者 |
鈴木 知代 豊橋創造大学, 保健医療学部, 教授 (50257557)
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研究分担者 |
伊藤 純子 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (10436959)
杉山 眞澄 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (50781738)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 公衆衛生看護管理者 / コーチング / GROWモデル / サーバントリーダーシップ / アクションリサーチ / 公衆衛生看護管理 / クレーム対応 / 保健師のスキルアップ研修 / 住民クレーム / 組織マネジメント / シミュレーション型教育 |
研究開始時の研究の概要 |
平成23年より保健師が経験する住民クレームに関する研究より研修プログラムを開発し、クレームを教材に保健師のスキルアップ向上を目的とした研修・研究を実施してきた。その中でクレーム対応、発生防止のためには保健師個人の援助技術向上だけでは解決できるものではなく、組織的な対応が必要である。特に管理職の組織マネジメント能力が組織改善のカギとなり、クレーム対応、クレーム発生防止となることが明らかとなった。 そこで、今回の研究では、保健師の管理職を対象に組織マネジメント能力向上を目指し、クレームを活用したシミュレーション型教育プログラムの開発を行い、研修を実施・評価しプログラムの完成を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度、東海公衆衛生雑誌投稿、テーマは「市区町村母子保健事業クレームの実態と管理的立場の保健師研修の検討」。これは、2019年に実施した全国の市区町村母子保健担当部署の管理的立場の保健師を対象に、1年間のクレームの有無と件数、クレーム申し立て者・方法・場面・内容、職場のクレーム対応、クレームに関する考えを無記名自己記入式の質問紙で調査したものである。1,918か所の市区町村に調査票を配布し、回収された調査票は528票(回収率27.5%)。経験年数は21年~30年が最も多く238人(45.0%)、役職の有無では役職「有」が440人(83.3%)であった。1年間のクレームの有無では、クレーム「有」が357件(67.6%)を占めた。クレームの内容は、「保健師・栄養士等の専門職の対象者への支援に関すること」が最も多く、266件(50.4%)であった。具体的な内容は、「児の発達の遅れへの保健師の支援に対しての不満」41件、「保健師の保健指導内容への不満」42件が多かった。クレームに関する職場の対応と体制では「上司などに報告する体制になっている」411件(77.8%)が多かったが、「クレーム対応を分析して業務改善に活かしている」119件(22.5%)、「クレーム対応を分析して組織改善に活かしている」25件(4.7%)は少なかった。自由記載を分析すると、業務改善・組織改善にクレームを活用するためには、管理的立場の保健師のリーダーシップが必要であった。 この結果を受け次のステップとして、リーダーの役割とリーダーのスタッフへのかかわりを明らかにする研究に入った。A市の管理的立場の保健師3名とともにアクションリサーチの方法で、研究者5名とグループディスカッションを実施、結果を分析し、公衆衛生看護管理者を対象としたシミュレーション型能力育成プログラムの作成に取り組んでいる段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アクションリサーチの方法でA市の管理的立場の保健師3名と研究者5名とともにグループディスカッションを実施し、分析結果を基に、公衆衛生看護管理者を対象としたシミュレーション型能力育成プログラムの作成に取り組んでいる。2021年12月より2023年4月まで、計7回のグループディスカッションを行い分析がほぼ完了している。その結果を基に作成する管理者を対象とした能力育成プログラムの作成が遅れている。進行としてはグループディスカッションでは、業務改善と同時に組織改善に取り組む管理的立場の保健師の戦略や意図、実際の行動やスタッフへのかかわり方等がグループディスカッション内容から抽出され、リーダーの具体的な役割と戦略、意識、行動が明らかとなった。特に業務改善や組織改善への取り組みのプロセスをGROWモデルを活用して、5つのStepで整理したことで、現状分析ができ、目標の明確化、資源の再発見、選択肢の再発見に結び付いていた。また、私たち研究者がアクションリサーチの方法でグループディスカッションに参加したことは、管理的立場の保健師がこれまでの行動を想起し、意味づけることに尽力できたと考えている。 現在、その内容を構造化し、教育プログラム作成に反映させているが、やや進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
管理的立場にある保健師の公衆衛生看護管理能力の発展過程を明らかにするために、これまでA市の管理的立場の保健師とともに研究者はアクションリサーチの方法を活用して、グループディスカッションを7回実施した。その分析結果を、今後の公衆衛生看護管理能力向上への教育に展開していく。 教育プログラムは、グループディスカッションで使用したコーチングのGROWモデル、分析に活用したサーバントリーダーシップの視点を基盤として、作成していく方針である。 またアクションリサーチの方法で1市町村の管理的立場の保健師とともに研究者は継続的にグループディスカッションを行ったことが、リーダーの行動や役割などの抽出に繋がっている。作成する公衆衛生看護管理能力育成には、アクションリサーチの方法も取り入れる方針である。
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