研究課題/領域番号 |
20K11055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
西田 征治 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (90382382)
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研究分担者 |
小川 真寛 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (00732182)
白井 はる奈 佛教大学, 保健医療技術学部, 准教授 (90346479)
藤巻 康一郎 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (50324570)
坂本 千晶 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助教 (00876899)
池内 克馬 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助教 (20876883)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 認知症 / 活動 / QOL / 評価 / 妥当性 / 活動の質 / 評価ツール / 信頼性 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症の人に対して健康を促す活動を選択し,効果的に提供できているかを判断することは容易ではない。そのため我々は認知症の人の活動の質を評価する観察型のツールである「活動の質評価(A-QOA)」を作成してきた。A-QOAは評価ツールとしての質やその臨床での活用方法についてはまだ十分に検証されていない。そこで本研究では,A-QOAが認知症の人の活動の質を評価するツールとして信頼性と妥当性を有し,臨床で実装可能であることを検証する。A-QOAの高い信頼性と妥当性が示されれば,認知症高齢者の施設や病院でより適切に活動の選択や援助方法の効果判定ができるようになり,もって認知症ケアの質の向上に寄与する。
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研究実績の概要 |
昨年に引き続き,活動の質評価法(A-QOA)の妥当性の検証(研究2)を実施し,次にA-QOAの実装可能性の検証(研究3)の予備研究を実施した。 研究2では,認知症ケアマッピング(DCM)を用いてA-QOAの基準関連妥当性を検証した。A-QOAとDCMの両者の認定評価者である作業療法士7名に対して,WEB会議システムを使用して認知症の人が活動を行っている5分程度の映像(12場面)を見せ,A-QOAとDCMで評価させた。両者のデータの相関を分析した結果,A-QOAのプロビット値とDCMのME値との相関はr=0.84であった。A-QOAの下位項目とDCMのM値,E値との相関では,「かなりの相関」~「かなり強い相関」の関連が示された。これらの結果から,A-QOAの内容妥当性,構成概念妥当性に加え,新たに基準関連妥当性が確認され,認知症の人の活動の質を測るための尺度として妥当であることが実証された。 研究3では,予備研究として臨床でA-QOAの活用方法と課題を明らかにすることを目的に,A-QOA認定評価者である作業療法士5名にインタビューを行った。分析にはオープンコーディングを用いた。結果的に,A-QOAの臨床での活用方法に関するコードが98個,課題に関するコードが20個抽出され,それらは各々10個の活用方法と6個の課題に整理された。活用方法では,評価,介入と成果は一方向に流れるのではなく,行きつ戻りつ双方向のプロセスを経る中でA-QOAが活用されていた。この結果から自分の思いを言語化することが難しい認知症の人に対して,A-QOAは作業療法場面で活動の支援方法を明示するだけでなく,日ごろのケアで認知症の人がよい状態で過ごすための支援方法や,発展的に意味のある作業と結びつくための手がかりを提供してくれることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度に,新型コロナ感染症の影響を受けて研究1(A-QOAの信頼性検証)の進捗が遅れたことに加え,A-QOAの研修会が開催できず,研究2(A-QOAの妥当性検証)の研究対象者であるA-QOAとDCMを適切に使用できる人材を育成することができなかった。また,DCMの研修会の開催が令和3年度末(3月)だったことで研究対象者の確保が早い時期に出来なかったことも研究の進捗が遅れた理由の一つである。更に今年度は,A-QOAの実装可能性の検証(研究3)に関して,4月に県立広島大学の研究倫理委員会に申請書を提出し6月に承認されたが,一部内容を変更したため再度承認されるのに時間を要した。また,研究3では,研究開始当初は1つの研究のみ実施する予定であったが,予備研究として数名にインタビューを実施したことが進捗が遅れた理由である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度,A-QOAの実装可能性を検証する研究(研究3)では,予備研究として作業療法士5名にインタビューを行い,10個の臨床活用方法と6個の課題を明らかにした。しかし,対象者が少なくデータが飽和状態に達していないため,A-QOAの活用方法や課題について内容的妥当性が検討できていない。そのため,今後はA-QOAの研修を受けた全ての認定評価者に対してアンケートを実施し,A-QOAの臨床活用の方法と課題について内容的妥当性を検討する。
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