研究課題/領域番号 |
20K11076
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
柳澤 理子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (30310618)
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研究分担者 |
杉山 希美 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (10527766)
横山 加奈 愛知県立大学, 看護学部, 講師 (20551683)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 自動翻訳機 / 外国人 / 文化能力 / 異文化看護 / 異文化感受性 / 異文化コミュニケーション / 調査研究 / 介入研究 / 看護 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、自動翻訳機の臨床現場への導入が進み、外国人患者との意思疎通が容易になる一方で、文化に配慮したケアは十分に発展していない。本研究は、全国の病院を対象に自動翻訳機導入や外国人患者受入れ体制等を調査し、外国人患者受入れ医療機関認証病院と非認証病院の実態を比較する。次に、自動翻訳機を病棟に導入し、看護職の文化能力に与える影響を明らかにする。その結果を踏まえ、自動翻訳機導入によって向上する文化能力と向上しない文化能力を特定し、看護師に対する文化に配慮した外国人ケアの研修プログラムを開発する。病院での成果を踏まえて、同様の介入研究を訪問看護ステーション等でも実施し、在宅版研修プログラムを開発する。
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研究実績の概要 |
近年、急速に拡大している自動翻訳機の利用が、看護職の文化能力(cultural competency)にどのような影響を与えるか、また、自動翻訳機では解決できない文化能力の領域は何かを明らかにすることを、本研究の目的としている。 令和2~3年度は、病院における医療通訳者および自動翻訳機利用実態と、看護職の文化能力の関連要因を明らかにする質問紙調査を実施した。文化能力の測定には、日本語版看護文化能力尺度を用いた。対象病院では、80%以上の看護師が通訳や自動翻訳機使用経験を有していた。自動翻訳機使用経験は、二変量解析では文化能力との関連がみられたが、階層的重回帰分析では、異文化間コミュニケーション能力や長期的な海外経験があることの方が影響力が大きかった。 令和4年度は、病院における介入研究を実施した。自動翻訳機導入は異文化間感受性を向上させることには有効ではなかったが、異文化間コミュニケーション能力が低い者に対しては有効に機能し、文化能力の一部を向上させる可能性が示唆された。 令和5年度は、介入研究の結果の妥当性を確認するため、外国人患者対応経験が複数ある看護師に対しインタビューを実施した。看護師は【言語的コミュニケーションの困難】【精神的ケアや信頼関係構築の困難】など9カテゴリーで示される困難を経験しており、【意思疎通のための言葉を探す】【非言語的ツールの併用】などの工夫をしていた。 自動翻訳機は、患者への説明など言葉で解決する課題に対しては有効で、ケア実施における安心感や自信へとつながっていたが、その一方で、文化を尊重したケアや価値観のすり合わせなどには必ずしも十分ではなかった。 また、訪問看護ステーションに対して医療通訳者および自動翻訳機導入実態と看護職の文化能力に関する質問紙調査を実施し、分析中である。今後、病院と同様に、自動翻訳機を導入した介入研究を実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症流行の影響で、病院に対する介入研究が1年遅れとなった。また、外国人の減少に伴い患者数も少なく、介入研究の中で計画していたインタビュー調査が不十分で、追加のインタビュー調査が必要となった。 この影響を受けて、訪問看護ステーションに対する調査の開始が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
訪問看護ステーションに対する調査を、範囲を拡大して継続するとともに、研究参加に同意した訪問看護ステーションに対する介入研究を実施する。
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