研究課題/領域番号 |
20K11077
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
門間 晶子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (20224561)
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研究分担者 |
浅野 みどり 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30257604)
山本 真実 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (90710335)
細川 陸也 京都大学, 医学研究科, 講師 (70735464)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | オープンダイアローグ / 子育て支援 / 子ども虐待予防 / 家族支援 / 地域母子保健活動 / 対話 |
研究開始時の研究の概要 |
子ども虐待を食い止めることは国の喫緊の課題であり、支援方法が模索されている。子育てやそれに悩む文脈を理解し、親が子育ての行動を選択していけるような支援はどうあるとよいのか。私たちは、フィンランドの精神医療で効果を上げた「開かれた対話」による支援方法であるオープンダイアローグを児童虐待対応場面へ導入できないか、模索してきた。 本研究では、子育てに困難を抱える家族に対して、オープンダイアローグを実践し、親や支援者の反応と変化を明らかにする。そのことによって、子育て支援・子ども虐待予防に対して対話的アプローチが果たす役割を示す。本研究は対話的アプローチの効果評価と対人支援現場への応用の提案につながる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は子育ての困難を抱える家族に対してオープンダイアローグ(以下、OD)等の開かれた対話を実践し、親、近親者、保健師など参加者の反応と変化、および子育て支援・子ども虐待予防に向けた対話的アプローチの可能性を明らかにすることである。研究はほぼ3段階に分けて計画されている。第1段階:少人数の親グループに行うOD、第2段階:子育て中の家族や近親者へのOD、第3段階:保健師等支援者とともに子育て中の家族へ行うOD の段階で進行する予定である。 2年めである令和3年度は、第1段階の研究として、子育て家族とのダイアローグの場を2つ設け、研究データ収集と分析を行った。一つは、県内の里親会と協働し、令和3年5月~8月、10月~12月に計7回の子育てオープンダイアローグを開催した。もう一つは、政令市の子育て支援センターと大学(教員)との共催事業として、子育てや人間関係に何らかの困難を抱える人に呼び掛けて、令和3年8月~令和4年1月に計5回、子育てオープンダイアローグを開催した。両者とも、コロナ禍により、一部日程変更があったものの、何とか対面で実施できた。ダイアローグの記録と終了後の個人インタビューの結果を合わせて分析した。 研究成果の発信としては、子育てオープンダイアローグの結果概要を学術集会で発表(令和3年12月)および発表予定(令和4年10月、国際学会)である。論文としては子育て支援センターでのダイアローグの研究を英文誌へ投稿する準備を進めている。また、ダイアローグに関する文献検討の論文が先月採択された。児童相談所でのOD研修の研究について、英文誌での査読が進んでいる。 自己研鑽と研究ネットワークづくりとして、オープンダイアローグネットワークジャパン主催のODのトレーニングコース(オンライン)に年間を通して参加し、また、OD実践に関するスーパーヴァイズを受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度に研究依頼を行っていた2団体(名古屋市子育て支援センターおよび県内の里親会)との研究・ダイアローグ実践の場をもつことができ、第1段階の研究が実施できたことは、コロナ禍にありながらも、令和3年度における大きな成果であった。また、コロナ感染拡大のために延期となっていたオープンダイアローグネットワークジャパン(ODNJP)主催のトレーニングコースを、オンラインではあったが、受講することができた。しかし、そのトレーニング等での出会いや経験、人的ネットワークを研究の進展に結び付けることがなかなかできていないと考える。 令和3年度はとにかく第1段階の研究である2つの子育てダイアローグの実践が中心となった。当初予定では、子育てダイアローグ実践から見出された特定の家族や関係者を単位としたダイアローグを行う第2段階の研究へ、比較的早い段階で移行することも想定していた。里親会からは家族を中心にしたダイアローグの実践について賛同が得られ、心当たりの人に声をかけるところまではできたが、実践には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
第2段階の研究、すなわち特定の家族や関係者を単位として行う研究は、里親会の理解を得て、準備を進めつつある。広報や周知の方法を検討している段階で令和3年度が終わったが、令和4年度にはぜひ取り組みを進めたい。また、令和3年度に蓄積した研究成果を現在、論文として投稿準備中であり、それについてもできるだけ速やかに進めたい。 研究者が長年関与してきたひとり親家庭への研究の呼びかけについては、令和3年度には実施できなかった。ひとり親はコロナ禍の影響をより受けやすいと感じたことがその原因でもある。ひとり親がこどもとの関係や子育てに悩む時期に、子育てに関するダイアローグが活用できるのではないかと考えているため、引き続き、感染状況も鑑みながら、研究実施の機会を検討したい。 さらに、第3段階の研究につながる、保健師等援助職者が関わる家族に対して支援者と共にODを実施するためには、現在ともにダイアローグの勉強をしている仲間との関係を築き、共に研究に取り組めるように発展させてていく必要がある。対面で研修を開催する機会が格段に減り、人的ネットワーク構築という面からも、厳しいところである。
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