研究課題/領域番号 |
20K11141
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
薬袋 淳子 岐阜医療科学大学, 看護学部, 教授 (10445124)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | MCI / 軽度認知障害 / 認知症 / 高齢者 / ポピュレーションアプローチ / 介入研究 / 前向きコホート研究 / サポーター養成 / サポーター / 認知症予備軍 / 軽度認知症 / サポーター養成講座 / 認知機能 / 軽度認知機能障害 / 住民 / チェックシート / 地域包括 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢化が急速に進んでいるわが国の社会的背景を踏まえ、ポピュレーションアプローチによる有効なMCI(軽度認知障害)からの回復を目指したプログラムを構築・実践し、その効果を検証する。本研究事業で構築するプログラムは、認知症の原因疾患発症に関わる危険因子と保護因子を理解し、日々の生活習慣を健康的なものに変えていくことを基本に「運動習慣」「食生活習慣」「知的活動習慣」「役割創出」を柱に作成し、地域包括支援センターと看護大学生の協力を得て、研究者が5年計画で行う。大学と地域包括支援センターと連携して実践し、検証することで、今後の行政事業として実装されることを期待するものである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、軽度認知障害(MCI)からの回復を目指したコミュニティ創出およびポピュレーションアプローチの検証である。 4年目となる2023年度は、参加者1期生のデータを分析し、本研究の効果を立証するとともに、ポピュレーションアプローチに力を入れた。 日本における課題は、認知症はいきなり発症するわけではなく、一歩手前のグレーゾーンがMCIであり、認知症予備軍となる。高齢者の4人に1人(約15.5%)はMCIと推計される中、自覚していない人が多い。その理由は、自立した生活ができているため「何か変」のまま過ごしてしまうのである。地域住民がMCIをスクリーニングできる手段が極めて少ない。さらには、MCIから健常に回復したという先行研究は散見される。しかし、回復率の最大は49%でその後上昇していない。その理由は認知症予防の取り組みにおける継続性の低さが考えられることである。 そこで、地域在住65歳以上264名を対象に、「MCI検査:タッチパネルとミニコグ」「先行研究で効果があった取り組みチェック」「1年後の効果分析」を行った。結果、MCIの疑いがあった26%の人のうち、76.4%が健常に回復した。「毎日、自身の行動を振り返って明日を考える」ことが有用であったと考える。お金をかけずに、自分が気合を入れて取り組むことの成果が、MCIからの回復につながった。 本研究参加者である地域在住65歳以上264名は、女性7割、男性3割、平均年齢78.9歳、独居25%、内服している73%、物忘れあり70%で、一般的な高齢者集団で、偏った集団ではなかった。また、MCIのスクリーニングは、信頼性と妥当性が証明されているキャットスマート(タッチパネル)とミニコグ(聞き取り)を使い、双方に相関があることを確認できた。現在は700名を超える参加者に介入しながら、ポピュレーションアプローチしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
段階的に進めているため、概ね順調といえる。 介入においては、予想以上にマンパワーを要するが、予算内で運営できるよう努力している。
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今後の研究の推進方策 |
地域在住高齢者、および、自治体と専門職者が、本研究に対し協力的であるため、現時点で対象者が増えている。対象者が増えることで、データの信頼性も高くなるため、このまま進めていく。しかし、本取り組みは、マンパワーを要するため、今後はどのように工夫し、マンパワーを最小限にして実施できる方策を検討していきたい。 高齢のため、介入実施場所に移動できない対象者が増えており、自宅でも行える方法を検討している。実証実験として、スマホを使った自宅トレーニングと簡易認知機能検査を作成し導入したが、80歳以上はスマホの使用が非常に難しかった。 今後は、MCIから回復できた7割以上の高齢者の認知機能が低下しないための方法を開発していく予定である。 今後、スマホの利用は必須になると考えるが、機能を考え、高齢者が使いやすいものにしないとならない。そのためには、対話型であることが重要で、飽きずに楽しく実施できる必要がある。並行して、スマホを使わない場合は、現在使用している「毎日チェックノート」を利用しながら、薬局や自治体の協力を得ながら、スマホ利用者と同じ機能を持たせていく予定である。まずは、MCIのスクリーニングを拡大しなければならない。そのために、高齢者が常に行く薬局の協力を得て、簡易的スクリーニングを行い、自宅トレーニングを実施し、また認知機能チェックをする、という流れを定着させる。薬局を利用しない場合は、自治体で同様の機能をもつ仕組みを定着させる。 これらを次のステップと考え、引き続き本取り組みを展開させていきたい。
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