研究課題/領域番号 |
20K11158
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
芦刈 明日香 琉球大学, 病院, 助教 (80768599)
|
研究分担者 |
宮里 実 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70301398)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 女性骨盤底機能障害 / ゲノム / 疾患レジストリ / 骨盤臓器脱 / 尿失禁 / 過活動膀胱 / 遺伝子多型 |
研究開始時の研究の概要 |
咳やくしゃみで尿が漏れる腹圧性尿失禁、腟から膀胱、子宮、直腸といった臓器が脱出する骨盤臓器脱、頻尿、尿意切迫症状を呈する過活動膀胱が女性骨盤底の機能障害に起因するという新しい疾患概念である「女性骨盤底機能障害」に着目した。中高年女性に一般的であるにも関わらず、治療が一部の手術に限定、有効な薬剤がない難治例も多い。本研究では、第一に、ゲノム情報を加えた大規模レジストリ作成を行い、疾患特性を明らかにする。第二に、作成されたレジストリを基盤に、難治例への先端治療、高リスク群には新しい予防プログラムの導入を実現する。これにより、切れ目ない個別治療ストラテジーのシステムを構築する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱(Pelvic Organ Prolapse:POP)、過活動膀胱といった女性骨盤底機能障害という中高年女性に潜在的に多く存在しQOLを著明に損なう疾患を対象としている。これらの疾患の発症予防や発症後の難治性症状に対して基礎的、臨床的側面から網羅的に解析しその疾患特性を明らかにし、原因や病態を解明し女性骨盤底機能障害に対して新たな個別治療ストラテジーを構築する事を目的としている。 POP発症の高リスク因子探索のため、POP群と非POP群の患者背景(発症年齢、既往歴、出産情報、骨盤臓器脱家族歴など)、疾患情報(骨盤臓器脱ステージ、下部尿路症状、排便症状、性機能など)、をレジストリとして登録した。POP群336人、非POP群563人を報告時点で登録しており、そのデータから疾患群に特異的な項目を抽出しリスク因子の同定のための最終解析を行った。POP群305人(平均年齢72歳)、非POP群338人(平均年齢57歳)を解析し、両群の年齢差を補正した両群各129人で最終解析した。その結果、肥満や多産に加え、高血圧の後天的因子、さらに先天的因子であるPOP家族歴の関与があることが示唆された。遺伝的背景の裏付けとして骨盤臓器脱に関わるゲノム因子の探索のため324人のDNA検体より、沖縄バイオインフォメーションバンクやバイオバンクジャパンのデータを対照群としたPOP発症高リスク因子を最終解析中であり、両者とも論文化中である。後天的・環境因子に加えて先天・遺伝因子の関与の報告は国内初となる見込みである。これらから、骨盤臓器脱未発症だが発症高リスク因子をもつ女性に対し、個別化予測・早期の保存的介入を試みることが可能となる。 その次のステップが排尿姿勢とバランスを考慮した理論的な骨盤底筋訓練であり、現在検証中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していた研究実施期間をコロナ禍の影響で対照群の収集が遅れ、それが期間延長につながった。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を今年度で終了見込みである。本研究で得られたPOP高リスク因子を元に個別化治療ストラテジーの構築を行い検証する。
|