研究課題/領域番号 |
20K11165
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
黒崎 芳子 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (80736322)
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研究分担者 |
橋本 竜作 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 教授 (00411372)
辰巳 寛 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (70514058)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 失語症 / 喚語障害 / コミュニケーション文脈 / 皮膚コンダクタンス反応 / 自律神経活動 / コミュニケーション / 文脈 |
研究開始時の研究の概要 |
失語症患者の意図した語を喚起できないという「喚語障害」は、コミュニケーションを阻害する大きな要因となる。本研究は、失語症患者の喚語障害が文脈によって変動するという特徴に注目し、様々なコミュニケーション文脈における喚語の変動を、情動や記憶、認知処理の研究に用いられる自律神経指標の一つである皮膚コンダクタンス反応との関連から検証し、言語機能、認知機能(文脈判断)、情動的機能という総合的な視点から喚語機能の促進・抑制メカニズムを解明することを目指す。本研究は、失語症患者の喚語障害の軽減につながる新たなリハビリテーションを構築するための知見を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
失語症者でみられる「喚語障害」は、ある場面で特定の単語を話すことが困難であっても、意図しない場面においては話すことができるという「自動的行為と意図的行為の解離の現象」(Baillarger-Jacksonの原理)を示すことが知られている。本研究は、喚語の変動に関して、情動、記憶や意思決定などの研究で用いられてきた自律神経活動を測定する皮膚コンダクタンス反応(SCR:skin conductance response)を分析し、喚語の実現において自律神経活動が促進および抑制的に働く可能性を検証する。 2022年度は、線画や顔写真に対する喚語課題を用い、健常者と失語症者の言語機能と自律神経活動との関連を分析し報告した。中年健常者(N=29)では、線画呼称において喚語が容易な場合には生理的覚醒は低く、一方で、舌の先現象(TOT:tip of the tongue state)のような語想起の検索努力が生じる課題で、生理的活性化の時間は長くなった。失語症患者(N=8)では、健常者に比べ、呼称課題において生理的活性化が大きくなる症例が半数以上みられた。 こうした結果から、以下の仮説を提案した。1.失語症者は健常者に比べ単語検索に負荷が生じやすく、障害された言語機能を活性化するために、生理的覚醒が上昇しやすい。言語機能が改善し検索努力が減少すると、生理的活性化は減少する。2.発話意図の高いコミュニケーション文脈では、喚語への負荷が高まり生理的活性化は上昇する。一方、コミュニケーション文脈が自動的な場合は、喚語はスムーズとなり、生理的活性化は減少する。これらの仮説を検証するために、意図性の高い発話(能動条件)と意図性が低い発話(自動条件)を設定し、実験プログラムの試案作成に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験プログラムの作成を行い、自律神経活動測定システムと連動させた予備実験を開始する予定であったが、COVID-19による感染状況の拡大に伴い被験者の募集および実験への協力を得ることが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
感染防止策に注意を払いながら、自律神経活動測定システムと連動させた実験プログラムの予備実験を実施し、プログラムの修正および検証に取り組む。実験プログラムの開発後は、まず健常者での基礎的データを行い、協力病院に働きかけながら失語症患者の臨床データを収集してゆく予定である。
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