研究課題/領域番号 |
20K11178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉田 一生 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (90638280)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | メタ認知 / 外傷性脳損傷 / 自己認識 / 認知機能障害 / MRI / 行動評価 / セルフアウェアネス / 神経心理学的検査 |
研究開始時の研究の概要 |
脳損傷者はしばしばメタ認知の障害を呈する。メタ認知とは自身を客観的に認知する能力であり、自身の障害や能力に対する認識や行動のモニタリングが含まれる。メタ認知の障害はリハビリテーションの阻害要因であり、患者の転帰に影響することが知られているが、メタ認知を定量的に測定できる行動評価がないのが現状である。本研究の目的は、メタ認知を定量的に測定できる行動評価を作成し、外傷性脳損傷患者を対象に、その臨床的有用性を検討することである。また、自身の障害や能力に対する認識の障害と行動モニタリングとの関連性に関しても検討する。
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研究成果の概要 |
本研究から、①外傷性脳損傷患者は健常者に比してメタ認知の正確性が低下していること、②外傷性脳損傷患者は健常者に比して自信過剰な傾向にあること、③メタ認知能力は臨床的な自己認識評価と関連しているが他の神経心理学的検査とは関連がないこと、④メタ認知能力の正確性には左前頭部の脳損傷が関連していることが明らかとなった。これらの結果は外傷性脳損傷患者のメタ認知障害に関する病態理解に貢献する。また臨床的な自己認識評価との相関から、行動学的なメタ認知測定法の臨床的に有用であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
メタ認知機能の低下は自身の行動や認知の客観的な評価の不正確さにつながり、適応的行動に必要だと考えられている。外傷性脳損傷患者の不適切な行動や認知はメタ認知能力の低下と関連している可能性がある。本研究では外傷性脳損傷患者はメタ認知機能の低下を示すこと、患者の自己評価は自信過剰な方向に偏っていること、メタ認知能力は臨床的な自己認識評価と相関するが神経心理学的検査とは相関しないこと、左前頭部の損傷がメタ認知能力低下と関連しうることなど、病態理解に貢献する複数の知見を得た。これらは患者のより適切な評価やメタ認知を対象とした新たな介入手法の開発につながる可能性がある。
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