研究課題/領域番号 |
20K11197
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
水谷 謙明 藤田医科大学, 医療科学部, 准教授 (30351068)
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研究分担者 |
脇田 英明 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80416172)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 脳梗塞 / リハビリテーション / 麻痺回復 / 神経可塑性 / 分子機構 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は脳卒中リハビリテーション(リハビリ)の麻痺回復に伴う脳内機能的生理活性物質の変化について、基礎医学面から裏付けることを目的とする。具体的には脳梗塞モデル動物に訓練を行い、麻痺および運動機能の経時変化を解析するとともに、脳内の分子的な変化を翻訳後修飾であるO-Linked-N-acetylglucosamine (O-GlcNAc)修飾及びリン酸化を標的とし、プロテオミクスの手法を用いて網羅的解析を行い、脳内における効果規定要因を特定する。また、分子機構の解明および薬物療法の開発を行うことにより、さらなる機能回復を目指す。
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研究実績の概要 |
脳梗塞後の麻痺や障害に対して、脳の可塑性変化に基づいた新たなリハビリテーションという概念が浸透し始め、積極的に麻痺回復を行う治療戦略に関心が高まりつつある。本研究は、脳卒中リハビリテーションの麻痺回復に関連した脳内分子機構の解明を目指すものである。脳梗塞モデルを用いて大脳皮質限局性に脳梗塞を作製し、脳梗塞2日後から回転ケージによる歩行訓練を行った群をEX群、訓練を行わなかった群をCNT群とし、麻痺および機能回復の程度と脳内のリン酸化修飾の動態についての解析を行った。運動機能解析はrotarod test を用い、回転数が3rpmから30rpmへと漸次増加する回転棒上での歩行持続時間を脳梗塞前、梗塞後2,4,6日目に計測した。その結果、CNT群と比較してEX群において6日目に有意に歩行持続時間の増加が確認された。 脳梗塞後6日目のペナンブラ領域を含んだ脳梗塞巣辺縁大脳皮質のリン酸化プロオミクス解析を行いDAVIDによるKEGG pathway解析の結果、特にcAMP signaling pathway 、MAPK signaling pathwayなどの関与が示唆された。 さらに、これらのpathwayに関連したreceptorのagonistの投与と運動訓練を併用することにより、投与量依存性に運動機能回復が認められた。これらのpathwayに関連した脳内リン酸化タンパクの変化が脳梗塞後の機能回復に関連した分子基盤の一つである可能性が示唆された。 GlcNAcの結合はリン酸化と修飾部位が類似していることから、リン酸化修飾を抑制し機能調節を行っていることが知られている。訓練の有無によるO-GlucNAc修飾とリン酸化修飾の動態について、前述のpathwayに関わるタンパクを中心に、今後O-GlucNAc修飾の動態および機能回復との関連性について更なる検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度より、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、COVIT-19 PCR検査に従事こととなり、エフォートが大幅に変更となった。また、研究に必要な消耗品等の欠品、納期遅延等により本来予定していた研究を遂行することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの解析により、運動訓練による機能回復が認められた大脳皮質において、機能回復とその分子動態との関連性が示唆されたが、この現象をより詳細に解析するため、O-GlucNAc修飾タンパク質を抽出し網羅的解析を行う。また、脳梗塞後の変化、運動訓練、麻痺回復との関連性など更なる詳細な分子機構の解明を行う予定である。
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