研究課題/領域番号 |
20K11198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 関西医科大学 (2021-2022) 神戸学院大学 (2020) |
研究代表者 |
浅井 剛 関西医科大学, リハビリテーション学部, 准教授 (50411880)
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研究分担者 |
三栖 翔吾 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 助教 (20824105)
福元 喜啓 関西医科大学, 医学部, 講師 (30636121)
為井 智也 神戸大学, 数理・データサイエンスセンター, 准教授 (40548434)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 歩行 / 非負値行列因数分解 / 筋シナジー / 動作計測 / 簡易カメラ / 妥当性の検証 / リハビリテーション / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
筋電図的検証により、歩行動作は複数の“基本要素”とされる単純な身体動作で構成されていることが明らかとなっている(シナジー理論)。また、歩行動作は、体幹加速度由来の指標をベースにしたスコア( Comprehensive Gait Assessment using Inertial Sensor Score (C-GAITS score))によって、転倒などの健康リスクを表せることが我々の先行研究において明らかになっている。本研究では、C-GAITS scoreを指標に、シナジー理論に基づき高齢者リハビリテーションにおける最適な歩行トレーニング法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、地域在住の歩行の自立した高齢者17名(女性:13名(76%)、年齢:76.1±6.6歳)を対象に、認知課題を付加した歩行(二重課題歩行)中の下肢の主要筋の筋活動を計測し、歩行中の姿勢および下肢の協調的な活動(筋シナジーによる検証)の変化について検討を行った。歩行路には、加速と減速のために前後に2メートルを加えた19メートルの廊下を利用した(解析対象は15メートル)。歩行条件は6条件とし、普通歩行、ゆっくり歩行、普通歩行、二重課題歩行(課題:100からの逆唱)、二重課題歩行(課題:100から連続した3の引き算)順で行った。歩行中の姿勢の評価のために、本研究では、小型3軸加速度センサを体幹下部(腰椎第3棘突起部)に取り付けて歩行中の体幹の振動を計測した。得られた加速度波形に波形解析を加え、歩行の特徴(例:自己相関係数)を抽出し、姿勢評価を行った。下肢の筋電活動は、歩行の主動作筋群8筋を選択し、無線筋電センサを用いて計測した。得られた筋電波形に対して非負値行列因数分解を行い、歩行における筋モジュール数を求めた。本研究の結果、二重課題歩行において、歩行速度は有意に低下し、更に体幹の加速度波形の規則性が低下した。また、ストライド時間の変動は顕著に大きくなった。一方、下肢の協調的な活動の変化は、認知課題負荷における定型的変化は観察されなかったが、歩行速度に依存してモジュール数が変化する傾向が見られた。この結果より、認知課題は歩行速度変化を介して姿勢を不安定にしている可能性が示唆された。また、二重課題による歩容変化の一部は、認知課題による下肢の協調活動の低下に起因している可能性が示唆された。しかし、本研究においては、体幹の加速度信号と下肢の筋電波形信号を同時に解析していないため、その潜在的な関係性については、更なる検討が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の実施のためには、研究対象とする高齢者の実験への参加が必要となるため、地域の新型コロナウィルスの感染状況を観察しながら高齢者のリクルートを進めてきた。しかし、リクルート後に設定した計測の日程が流行期と重なってしまい、計測の実施が大幅に遅れた。 また、解析のプログラムコードの作成を担当している共同研究者が異動することになり、解析プログラムコードの作成が一時的に停止した。解析プログラムコードの作成は、本研究の内容に関する理解と、プログラミングの専門知識が必要であるため、別の協力者を見つけるなどの適切な対策を講じることができなかった。 これらの問題により、本研究は大幅な遅れが発生した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、歩行動作の計測にマーカレスの動作解析装置を使用する予定であったが、データの信頼性の低さおよび解析の煩雑さから、2021年度の計測から小型慣性センサを動作計測装置として用いることにした。そのため当初の予定とは異なる種類のデータを扱うこととなり、データの解析プログラムには全く別のコンセプトの解析方法を盛り込む必要がでてきた。今後は、得たデータから必要な情報を抽出すために、共同研究者と密に連絡を取りながら、慎重に解析プログラムを作成していくことにしている。予定では、質の異なるデータを同時に扱えるSahred Gussian Process Latent Variable Model (Sahred GPLVM)による解析を進め、データの背後にある潜在的な空間を推定することとしている。
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