研究課題/領域番号 |
20K11205
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
久保田 雅史 金沢大学, 保健学系, 准教授 (60422672)
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研究分担者 |
長宗 高樹 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (80397827)
松尾 英明 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 理学療法士 (60529387)
渡部 佑有子 (平馬 佑有子) 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 作業療法士 (60795087)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 経頭蓋直流電気刺激 / 末梢神経電気刺激 / 脳卒中 / 仮想現実 / 抹消神経電気刺激 / リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、脳卒中症例の機能回復を最大限促通するためのリハビリテーションを開発することが目的である。仮想現実(VR)は、実際の麻痺手の動きをPC画面上にリアルタイムで反映させ、画面上での課題を遂行することで反復回数や動作への注意が拡大し、機能回復を促通する可能性がある。また、脳を直接刺激する経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は、脳の興奮性を調整することができ、運動中の脳活動をより高め、治療効果を最大限促通できる可能性がある。今回、これらVRとtDCSを併用して使用することにより、脳卒中後の運動機能回復に価値があるかを検証する。
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研究実績の概要 |
本年度は、健常人におけるVRリハビリテーションのみと、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)との併用、さらに末梢神経電気刺激(TES)の併用の影響を運動制御機能と脳機能の観点から調査した。その結果、現実課題と比較してVR課題では、脳の活動領域や活動パターンが異なることが明らかとなった。具体的には、内側前頭前野の活動が増大するとともに、現実課題では運動課題中に徐々に活動が低下する一方で、VR課題では徐々に脳活動を高めていた。さらに、TESが脳活動に与える影響度合いも、現実課題よりVR課題で大きくなることも明らかにすることができた。これは、脳卒中後の皮質脊髄路の興奮性の損傷側ー非損傷側アンバランスさに対して、TESやtDCSを併用したVRリハビリテーションは非常に有効性が高い可能性を示唆している。 さらに、じっさいの脳卒中症例においても、VRトレーニングによる影響を調査した。当初はクロスオーバー試験を実施予定であったが、近年の脳卒中症例の在院日数短縮に伴い、介入期間を確保できないため、即時効果と短期効果に焦点を当てて調査を行った。その結果、特に重症運動麻痺を呈する脳卒中症例では、実施直後に上肢機能評価であるFugl-Meyer assessmentが向上する症例や、Block Box testが改善する症例を認めた。一方で、高次機能障害によって視空間認知機能が低下した症例や、注意機能障害、座位保持困難症例ではVR環境でのトレーニングの遂行に難渋した。 これらの結果より、VRトレーニングは、通常の現実課題とは異なる脳活動パターンをとること、TESやtDCSなどの影響を受けやすく反応性が高まること、さらに高次機能障害の軽度で運動麻痺が重症となった症例には、新たなリハビリテーション手法となりえることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常人でのプロトコールは予定通り実施できている。ただし、想定していた評価項目の一つである運動誘発電位(MEP)の計測は、研究施設の変更に伴い、実施できていない。 一方、脳卒中症例においてもデータ計測は進捗できている。当初はクロスオーバー試験を想定していたが、在院日数の短縮やCOVID-19感染症の蔓延によって研究実施期間が限定されたことにより、研究手法を変更して実施している。
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今後の研究の推進方策 |
健常人においては、TESのパラメータを変更し、高強度での刺激によってVR課題中の脳活動がどうなるかは明らかにされておらず、この点に関しては早急に計測を行う予定である。 また、脳卒中症例においては、即時的変化に関しては明らかにできてきたが、短期間連続使用した際の変化に関しては明らかにされていない。今後、脳卒中症例に対してもtDCSやTESとの併用効果を含めて検証していく必要がある。 現状作成しているVR課題は、BBT、リーチング、ワイピング、コース立方体の4種類であるが、脳卒中後の上肢機能評価としてはSTEFやARATなどの評価手法も広く行われている。これらもVR化することで、より広い症例に対して実施できると考えている。 さらに、蓄積したデータに関して、順次学会及び論文にて公開していく予定である。
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