研究課題/領域番号 |
20K11222
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 熊本保健科学大学 (2021-2023) 金沢医科大学 (2020) |
研究代表者 |
田中 貴士 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (30734694)
|
研究分担者 |
加藤 伸郎 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10152729)
上野 将紀 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40435631)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | アルツハイマー型認知症 / チロシン脱リン酸化酵素 / 海馬 / アミロイドβ / ミクログリア / 貪食 / 神経新生 / 自発的運動 / チロシン脱リン酸化酵素SHP-1 / アルツハイマー病 / 高齢期 / 認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国の高齢者の約14%が認知症を発症しているが、認知症に対する有効な治療法は未だ確立されていない。認知機能の改善を目指すにあたり、①海馬における神経新生や分化の増加、②脳内に蓄積した代謝性廃棄物の除去、を促すことが重要である。本研究で着目するチロシン脱リン酸化酵素のSHP-1は、神経の新生・分化やミクログリアの貪食能を制御することが報告されているため、認知症に対する有効な治療の標的分子となる可能性がある。本研究によって、神経新生や分化、代謝性廃棄物の除去にSHP-1が関与していることが実証されれば、認知症の治療法の一助として国民の健康増進に貢献できる。
|
研究成果の概要 |
認知症の大半を占めるアルツハイマー型認知症(AD)の予防・改善には海馬での神経新生や脳に蓄積するアミロイドβの除去を促すことが必要と考え、チロシン脱リン酸化酵素(SHP-1)に着目した。SHP-1は神経新生やミクログリアによる貪食シグナルを阻害すると報告されるため、ADマウスでのSHP-1抑制効果を検証した。ADマウスとSHP-1欠損マウスの交配、またADマウスへのSHP-1阻害剤の投与により、海馬におけるアミロイドβの蓄積が緩和された。また、自発的運動で脳内のSHP-1が減少することが明らかになり、運動による海馬の神経新生やアミロイドβの排出促進にSHP-1が寄与している可能性が示された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
認知症患者の脳、特に海馬では、神経新生数の減少やミクログリアの貪食能の低下が報告されており、正常な機能を取り戻すことは容易ではない。これら2要因をともに改善させることは、認知機能低下の改善策として有効であると考えるが、確立された方法は存在しない。本研究の意義は、海馬での神経新生やミクログリアによる貪食の両者を制御しているSHP-1を抑制することで、認知症の予防・改善を目指すことである。SHP-1の抑制が認知症を改善できることが実証されれば、認知症患者や予備群の方々に対する治療法につながる可能性が期待される。
|