研究課題/領域番号 |
20K11227
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
藤田 俊文 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (60431441)
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研究分担者 |
丹藤 雄介 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00332495)
三上 佳澄 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (40709143)
七島 直樹 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (80333730)
因 直也 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (90898793)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 全身振動刺激 / Irisin(イリシン) / BDNF(脳由来神経栄養因子) / 認知機能 / 前頭前野 / NIRS |
研究開始時の研究の概要 |
近年、運動が脳活動を活性化させ認知機能に好影響を与えることが明らかになってきている。認知機能に重要な物質に、脳由来神経栄養因子(BDNF)という脳神経に重要なたんぱく質があり、その物質の分泌を促すには筋肉から放出されるホルモンであるイリシン(irisin)が関連するといわれている。このirisinは筋肉を高頻度に収縮させることが重要で、近年、全身振動刺激を用いた運動が筋活動を促すことが知られている。本研究では、全身振動刺激がirisinの出現を促しBDNFの出現へも影響を与えるか、さらには認知機能に好影響を与えるかを研究する。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、健常成人を対象とした全身振動刺激による運動介入が脳由来神経栄養因子BDNFとイリシンirisinの発現に及ぼす影響ついて検証した。健常成人17名を対象に、振動刺激周波数5Hz群(8名)と20Hz群(9名)の2群にランダムに振り分けた。介入は、軽度膝関節屈曲位の立位にて5分間実施した。介入前後で採血および認知機能検査を実施した。採血後の試料より、血清BDNFおよびirisin、また血中乳酸値を測定した。認知機能検査は、脳活バランサーCogEvoにて見当識(見当識)、注意力(視覚探索)、記憶力(フラッシュライト)、計画力(ルート99)、空間認識力(ジャストフィット)の5項目を測定した。結果として、介入後のBDNFと乳酸値は群間で有意な差がみられ20Hz群で高値であった。irisinは介入後に両群とも有意に増加したが、群間で差はみられなかった。また、BDNFおよびirisinの介入前後の変化量には有意な正の相関関係が認められた。認知機能検査では、記憶力(フラッシュライト)において5Hzで有意に点数が増加、計画力(ルート99)において両群とも介入後に有意に点数が増加した。それ以外の項目では、統計学的な有意差は見られなかった。本研究結果より、全身振動刺激トレーニングは、振動周波数の違いにかかわらず、5分間の全身振動刺激による運動負荷でirisinは増加すること、さらに振動周波数20HzでBDNFと乳酸値を有意に上昇させることから、高い振動周波数でよりBDNFやirisinレベルを向上させることが示唆された。また認知機能では、計画力や記憶力に即時効果が得られることが示唆された。しかしながら、運動強度の感じ方には対象者で個別性があることから、至適な運動強度の設定方法の検討とその際のBDNFとirisinの発現レベルの検討が今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス関連の影響により、ヒトを対象とする研究に制限があり計画から遅れていたが、令和4年度は、健常成人を対象とした全身振動刺激による運動介入が脳由来神経栄養因子BDNFとイリシンirisinの発現に及ぼす影響ついて検証することができた。対象者の確保に時間を要したことに加えて対象者数も十分ではなかったが、振動刺激を用いた運動がBDNFとirisinを増加させることや、認知機能にも急性効果が得られた。しかし、振動周波数や運動強度と、前頭前野循環動態、認知機能との関連性については十分検討できていないため、今後解析が必要となる。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルス関連の影響が減少することから、学会発表、論文作成等の成果発表を進めていく。また、前頭前野循環動態と認知機能の影響については、今後、追加でデータ収集を行い、さらに検証する予定である。
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