研究課題/領域番号 |
20K11240
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 隆一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10301053)
|
研究分担者 |
大林 茂 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90318246)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 嚥下障害 / 人工呼吸 / 気管挿管 / 嚥下反射 / 電気刺激療法 / 舌骨喉頭筋群 |
研究開始時の研究の概要 |
ICUの重症患者では、気管挿管・人工呼吸離脱後にしばしば嚥下障害を来して長期予後が悪化する。嚥下障害は栄養不良のみならず生命予後を悪化させることが報告され、解決すべき喫緊の課題である。 研究は3段階とし、第1段階では人工呼吸離脱後嚥下障害の現状を調査し、発症率やリスク評価のためのデータを収集する。第2段階で本症に関連するリスクを解析し、 ハイリスク症例を定義する。第3段階ではハイリスク症例を無作為に電気刺激療法群と対照群に分けて介入し、その効果を判定する。本研究のゴールは、嚥下障害のハイリスク症例の選抜と電気刺激療法による早期介入により嚥下障害を減らし、長期的な予後改善につなげることである。
|
研究実績の概要 |
欧米ではICUの重症患者において気管挿管下の人工呼吸後にしばしば嚥下機能が低下し、長期的な予後が悪化することが知られているが、本邦ではまだほとんど 調べられていない。本研究は、まずはじめに当該施設のICUにおいて人工呼吸器離脱後の重症患者の嚥下機能を網羅的に調査し、嚥下障害の程度や障害部位、そ の背景やリスク因子などの現状について調べ、続いてハイリスク症例の特徴を洗い出してスクリーニングを行い、最終的にはハイリスクと判断された症例を対象 に電気刺激や嚥下訓練といった介入の有用性を通常管理群を対照に比較検討する予定としている。 2021年度は昨年度より継続してICUにおける人工呼吸器離脱後の嚥下機能に関する網羅的スクリーニングを行った。当該施設における嚥下機能低下の現状を把握するため、言語聴覚士の協力を得てICUの人工呼吸患者の評価を行い、41症例でデータを収集し解析した。対象を人工呼吸器離脱直後の嚥下不良群20例、良好群21例に分けて比較したところ、背景として不良群においてせん妄、酸素化不良、嚥下反射不良が有意に多かった。一方退院時の嚥下不良群は5例(14.3%)まで減少しており、多くの症例で改善していた。この結果に対する考察として、人工呼吸器離脱直後はせん妄や反射の低下、呼吸状態の不良により嚥下機能が障害されていたが、全身状態の改善や嚥下訓練などの介入によりそのほとんどは嚥下機能が改善すると推察された。 2022年度は新型コロナウイルス感染症患者への対応のため研究を一時中断した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は研究代表者の施設のICUにて行う予定であったが、2019年度後半に発生したCOVID-19の流行に対し、埼玉県の要請により2020年8月から当該ICUが重症 COVID-19患者の専用病棟となったため、研究に振り分けられる症例数が著しく減少した。そしてその状態は2023年3月まで継続し、5月時点もICUはコロナ患者の収容に備えて閉鎖されている。このため嚥下評価を行うべき患者のエントリーが少なくなり、対象症例の確保が困難な状態となっている。さらに感染予防策の一環として、言語聴覚士の介入が制限されており、研究への協力が得られにくい状況が続いている。このため研究計画は大きく遅れているが、COVID-19への対応が変化してICUへの患者の収容が再開されれば2023年度からは研究を再開できるものと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の第一段階である網羅的スクリーニングはほぼ終了したため、COVID-19への対応の変化によりICUへの一般患者の入室が可能となれば2023年度からは第2段階であるリスク因子の洗い出しの行程に移行する。これは嚥下障害をきたした症例の背景因子から人工呼吸器離脱後に嚥下障害を発症する可能性の高いハイリスク症例を選抜するための因子を抽出し、実際にこれらの因子によるスク リーニングで嚥下障害を診断できる感度や特異度について調査する。ハイリスク症例の洗い出しが可能となれば、これらの症例を対象として最終段階である電気刺激療法による介入研究を行う予定である。
|